漢方薬とサプリ・健康食品は何が違う?医薬品と食品の3つの違いと上手な付き合い方【薬剤師監修】

和紙風の背景に、左側に濃紺の縦帯があり、周囲を人参、生姜、シナモン、なつめなどの生薬のイラストが囲むデザイン。中央に「医薬品と食品の3つの違いと上手な付き合い方 漢方薬とサプリ・健康食品は何が違う?【薬剤師監修】」と書かれている。

【この記事の要点】

  • 漢方薬は「医薬品」、サプリや健康食品は「食品」です。法律上の区分がまず違います。
  • 違いは3つ。①区分(医薬品か食品か)②目的(体質を整えるか、栄養を補うか)③選び方(相談して決めるか、自分で選ぶか)です。
  • 生薬の中には、医薬品としてだけ扱われ、食品には使えないものがあります。
  • 漢方薬とサプリを一緒に使うときは、飲んでいるものをすべて相談先に伝えましょう。
  • 監修:竹部 晃之 先生(いわい薬局/埼玉県さいたま市)/前原 信太郎 先生(太陽堂/東京都新宿区)

「漢方もサプリも、自然のものだから同じようなもの」。そう思っている方は少なくありません。

ドラッグストアでは、漢方薬の近くにサプリや健康食品が並んでいることもあり、違いが見えにくいのは当然です。

けれど、漢方薬とサプリは、法律上の区分からして別のものです。

区分が違えば、作られ方も、表示できる内容も、選び方も変わってきます。

この記事では、病院での扱いと東洋医学の考え方を整理したうえで、3つの違いと上手な付き合い方をまとめます。

病院ではどう見るか|医薬品と食品の区分・検査・よく処方されるお薬

日本では、口に入れるものは大きく「医薬品」と「食品」に分けられています。

医薬品は、国の審査を経て承認されたものです。病院で処方される医療用医薬品と、薬局などで買える一般用医薬品があります。

漢方薬もこの医薬品に入ります。病院で処方される漢方薬には、健康保険が使えるものもあります。

一方、サプリや健康食品は「食品」です。その中にも、いくつかの種類があります。

  • 特定保健用食品(トクホ):国が商品ごとに審査し、表示を許可したもの
  • 機能性表示食品:事業者が科学的な根拠を国に届け出て、自らの責任で表示するもの
  • 栄養機能食品:国が定めたビタミン・ミネラルなどの基準を満たしたもの
  • いわゆる健康食品:上の3つに当てはまらない一般的なサプリなど

食品は、「病気が良くなる」といった表示ができない決まりです。ここが医薬品との大きな線引きです。

病院では、足りない栄養素を血液検査の数値で確かめてから補うことがあります。

たとえば貧血では、ヘモグロビンやフェリチン(体に蓄えられた鉄の量の目安)を調べ、必要に応じて鉄剤が処方されます。

ビタミン剤なども、医師が必要と判断した場合は、医薬品として処方されます。

また、サプリの成分によっては、血液検査の数値に影響することがあるとされています。

検査の前には、飲んでいるサプリも医師に伝えておくと安心です。

先生コラム① 竹部 晃之 先生「ダイエットのサプリも、まず体の土台から」

ダイエットでサプリを選ぶときは、まず「なぜ太りやすいのか」を考えてみてほしいと思います。

東洋医学では、同じ体重の悩みでも、胃腸の働きが弱っている方と、食べすぎてしまう方とでは見方が変わります。

サプリは特定の成分を補うもの、漢方は体全体の傾きを整えていくものと考えると、役割の違いが分かりやすくなります。

どちらかを選ぶ前に、今の体に何が必要かを整理するところから始めてみてください。

東洋医学ではどう見るか|体質タイプ別の考え方

東洋医学では、同じ「疲れ」でも、原因は人によって違うと考えます。これが証(しょう=その人の体質や状態)という考え方です。

漢方薬は、いくつもの生薬(しょうやく=植物や鉱物などからとる薬の素材)を組み合わせて作られています。

組み合わせ全体で体の傾きに働きかけるのが、成分を1つずつ補うサプリとの大きな違いです。

サプリを選ぶときの悩みを、体質タイプに当てはめると次のようになります。

  • 気虚(ききょ=エネルギー不足)タイプ:疲れやすい、食後に眠くなる。栄養ドリンクに頼りがち
  • 血虚(けっきょ=血の不足)タイプ:顔色が悪い、爪が割れやすい。鉄のサプリを選びがち
  • 水滞(すいたい=水の巡りの滞り)タイプ:むくむ、体が重い。むくみ対策のお茶を選びがち
  • 気滞(きたい=気の巡りの滞り)タイプ:イライラする、お腹が張る。リラックス系のサプリを選びがち

同じサプリを飲んでいても、体質によって感じ方が違うのは、このためだと考えられています。

また、生薬の中には、食品には使えないものがあります。たとえば麻黄(まおう)は、医薬品としてだけ扱われる生薬です。

反対に、生姜やシナモン(桂皮=けいひ)のように、食品としても生薬としても使われる素材もあります。

比較表|病院の薬・漢方薬・サプリの3つの違い

項目病院の薬漢方薬サプリ・健康食品
区分医薬品医薬品食品
主な目的症状や数値に狙いを定めて整える体質全体の傾きを整える不足しがちな栄養を補う
選び方医師が診察して決める医師や薬剤師と相談して決める自分で選べる

表のとおり、漢方薬とサプリの違いは「区分・目的・選び方」の3つに集約できます。

サプリには自分で選べる手軽さがあります。漢方薬は、相談の中で体質に合わせて調整していけるのが特徴です。

先生コラム② 前原 信太郎 先生「肌や妊活のサプリを飲んでいる方へ」

サプリを飲んでいるから漢方の相談はできない、ということはありません。

たとえば妊娠を考える時期の葉酸のように、国がサプリでの摂取をすすめている栄養素もあります。

大切なのは、飲んでいるものを一覧にして、相談のときに見せていただくことです。

成分が重なっていないか、飲む時間をずらしたほうがよいかなどを、一緒に整理していけます。

自宅でできるセルフケア・食養生

東洋医学では、毎日の食事がいちばん身近な養生と考えます。

  • 温かいものを中心に:胃腸が冷えると、食べたものを取り込む力が落ちるとされています
  • 旬の食材を選ぶ:季節に合った食材が、体の調子を支えると考えられています
  • よく噛んで腹八分目:消化の負担を減らし、胃腸の働きを守ります
  • 香りの良い食材を少し:しそや柑橘の皮は、東洋医学で気の巡りを助けると考えられています

サプリは、食事で足りない分を補う「助っ人」と考えると、付き合い方が見えてきます。

サプリと漢方薬を一緒に使うときのセルフチェック

  • □ 飲んでいるサプリ・健康食品の名前をすべて言える
  • □ 同じような目的のサプリを何種類も重ねていない
  • □ 病院の薬や漢方薬を飲んでいることを、サプリ選びのときに伝えている
  • □ 検査の前に、サプリのことを医師に伝えている
  • □ 「なんとなく」で続けているサプリがない
  • □ 体調の変化を、飲み始めた日と一緒にメモしている

チェックが付かない項目が多い方は、一度、飲んでいるものを全部並べてみることから始めてみてください。

漢方薬局の中には、サプリも含めた一覧を見ながら相談できるお店があります。

この記事の監修

記事監修者 (有)いわい薬局 代表薬剤師 竹部 晃之(たけべ てるゆき)

実績:国際中医専門員 / 全国実力薬局100選 7年連続選出

2005年に薬剤師となり、東京の漢方薬局で約10年間の臨床経験を積む中で、心と体の繋がりの深さを痛感。

・「もしも、不調に悩むお客様が自分の家族だったら。」
・「ただ薬を渡すだけでなく、心の奥にある不安まで受け止めたい。」

という信念のもと、創業45年を超える『いわい薬局』を継承。
現在は「メンタル・皮膚トラブル・子宝」などの相談を中心に、初回は1時間以上かけてじっくり話を聴く「カウンセリング重視」の漢方相談を行っています。

記事監修者 漢方薬局 太陽堂 漢方薬剤師 前原 信太郎

実績:伝統漢方研究会 2017年・2021年 学術発表

祖父が沖縄で開業医をしていた影響もあって、薬に触れる仕事がしたいと「薬学」の道へ。

6 年間調剤薬局に勤めていましたがライフスタイルや食生活が変化する現代において、調剤(病院のお薬)だけで病気を治していく事に限界を感じ、2017年漢方薬局 太陽堂に入局。

その中で一人一人の体質に合わせて病気を改善していく漢方に出会い、その道に進み、今に至る。

この記事を監修した先生が相談を受けているお店です。相談先を探すときの参考にしてください。

よくある質問

漢方薬とサプリは一緒に飲んでも大丈夫ですか?

組み合わせによります。成分が重なったり、飲む時間をずらしたほうがよかったりする場合があるため、飲んでいるものをすべて相談先に伝えてください。

「漢方」と書かれたサプリと漢方薬は同じものですか?

同じではありません。「漢方」の名前が付いていても、食品として売られているものは、医薬品の漢方薬とは区分が違います。パッケージの「第2類医薬品」などの表示で見分けられます。

健康食品なら体に合わないことはないですか?

食品でも体に合わないことはあります。体調に変化を感じたら使用をやめ、医師や薬剤師に相談してください。

漢方薬局でもサプリの相談はできますか?

相談できるお店もあります。今飲んでいるものを見せながら、漢方薬と合わせてどう付き合うかを相談できます。

病院の検査の前にサプリをやめたほうがいいですか?

自己判断でやめるより、まず医師に飲んでいるサプリを伝えてください。成分によっては検査の数値に影響することがあるため、必要に応じて指示があります。

まとめ

  • 漢方薬は医薬品、サプリは食品。法律上の区分がまず違います。
  • 違いは3つ。区分・目的(体質を整えるか、栄養を補うか)・選び方です。
  • 飲んでいるものは一覧にして、相談先や医師に伝えます。サプリも漢方薬も同じです。
  • 食事がいちばん身近な養生。サプリは足りない分を補う助っ人と考えます。

相談先を探すときは

漢方薬の選び方や飲み方で迷ったときは、次の記事もあわせてご覧ください。

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