【この記事の要点】
- 漢方薬は、食前または食間に飲むようすすめられることが多いとされています。
- 食前は食事の約30分前、食間は食事と食事の間(前の食事から約2時間後)のことです。
- 飲み物は白湯(さゆ)か水が基本形とされ、飲み忘れても2回分をまとめない考え方が一般的です。
- 保管は高温多湿を避けます。病院の薬とは時間をずらす配慮をすすめられる場合があります。
- 監修:林 泰太郎先生(漢方薬局 太陽堂・東京都新宿区)/武田 隆芳先生(漢方薬局 嶺耀堂・東京都新宿区)
漢方薬でつまずくのは、味よりも「飲み方」かもしれません
漢方薬局で漢方薬を受け取ったあと、家に帰ってから手が止まる方は少なくありません。
「食間って、食事しながらということ?」「お茶で飲んでしまったけれど、まずかったかな」。
こうした疑問は、相談のその場では聞きそびれてしまいがちな種類のものです。
全国の漢方相談店をご紹介している当サイトにも、飲み方についてのご質問がよく届きます。
この記事では、初めての方がつまずきやすい6つのギモンを、順番に整理していきます。
なお、飲み方の細かい指示はお店や体質によって変わります。最終的には相談先の指示が優先されます。
ギモン1:漢方薬は、いつ飲むのがよいのですか
結論からいうと、漢方薬は食前か食間にすすめられることが多いとされています。
胃の中に食べ物が少ないほうが、生薬の成分が体になじみやすいと東洋医学では考えられています。
まずは、3つの言葉の意味を確認しておきましょう。
| 言葉 | いつのことか | 漢方でよく使われるか |
|---|---|---|
| 食前 | 食事の約30分前 | よく使われる |
| 食間 | 食事と食事の間(前の食事から約2時間後) | よく使われる |
| 食後 | 食事の後30分以内 | 胃が弱い方などに使われることがある |
表のとおり、漢方薬でよく使われるのは食前と食間です。食後は、胃に負担を感じる方への配慮として選ばれることがあります。
「食間」は、食事の最中ではありません
ここがいちばん多い勘違いです。食間は「食事をしながら」ではありません。
お昼を12時に食べたなら、食間はおおよそ14時ごろ。おなかが落ち着いている時間帯を指します。
時間どおりに飲めない日があってもかまいません
仕事や家事の都合で、決まった時間に飲めない日も出てきます。
タイミングを守ることより、続けられる形に落とし込むことのほうが大切だと考える先生も多くいます。
生活に合わせて調整できるかどうかは、相談時に確認しておくとよい点のひとつです。
ギモン2:何で飲むのがよいのですか
基本形は白湯(さゆ)です。白湯とは、一度沸かしたお湯を飲みやすい温度まで冷ましたもののことです。
体を冷やしにくく、粉薬が溶けやすいという理由から、多くのお店ですすめられています。
| 飲み物 | 一般的な扱い | 理由として言われること |
|---|---|---|
| 白湯 | 基本形 | 体を冷やしにくく、溶けやすい |
| 水 | 問題ないとされる | 冷たすぎない常温がすすめられる |
| 緑茶・コーヒー | 避けたほうが無難 | 含まれる成分が影響する可能性が指摘される |
| ジュース・牛乳 | 避けたほうが無難 | 味や吸収に影響する可能性が指摘される |
表を一言でまとめると、白湯か常温の水が基本で、それ以外は避けておくのが無難ということになります。
なお、味が苦手で続かないというお悩みは、また別の工夫が必要になります。
味については、こちらの記事でくわしく取り上げています。

ギモン3:飲み忘れたときは、どうすればよいですか
気づいた時点で1回分を飲み、2回分をまとめて飲まないという考え方が一般的です。
まとめて飲めば取り返せる、というものではないと考えられているためです。
次の分の時間が近いときは、その回を飛ばして次から通常どおりに戻す形がよく案内されます。
忘れた回数より、伝えることのほうが大切です
「飲み忘れた」と言いにくくて、黙ってしまう方もいらっしゃいます。
けれども先生の側は、実際に何回飲めていたかを知らないと、次の見立てが立てられません。
「1日2回のうち、夜はだいたい飲めていません」。この一言が、次の提案を変えることがあります。
ギモン4:病院の薬と一緒に飲んでもよいですか
自己判断で病院の薬をやめないことが、まず大前提になります。
そのうえで、飲む時間を1時間ほどずらす配慮をすすめられる場合があります。
病院の薬が食後、漢方薬が食前や食間に設定されていれば、自然と時間差が生まれる形になります。
相談に行くときは、お薬手帳を持参するか、飲んでいるものを書き出して持っていくと話が早くなります。
病院の薬と漢方薬の考え方の違いは、こちらの記事で整理しています。

ギモン5:漢方薬は、どう保管すればよいですか
基本は高温多湿を避け、直射日光の当たらない場所に置くことだとされています。
生薬は湿気を吸いやすいため、粉薬が固まったり、香りが変わったりすることがあります。
意外に思われるのが、冷蔵庫が最適とは限らないという点です。
出し入れのたびに結露が起きることがあるためで、常温での保管を案内されることも多くあります。
煎じ薬を煮出したあとの液は扱いが異なり、冷蔵をすすめられる場合があります。受け取り時にご確認ください。
粉薬と煎じ薬の違いは、こちらの記事にまとめています。

ギモン6:旅行や出張のときは、どうしますか
数日分だけを小分けにして持ち歩く方法が、よく取られています。
車内やバッグの中は思いのほか高温になるため、夏場の置きっぱなしには注意が必要です。
旅行中は白湯を用意しにくいので、常温の水で飲む形に切り替える方もいらっしゃいます。
数日間まったく飲めない予定がある場合は、事前に相談先へ伝えておくと安心です。
飲み方でつまずいていないか、セルフチェック
当てはまる数が多いほど、次の相談で確認しておきたい点が増えている状態と考えられます。
- 「食間」を、食事をしながらの意味だと思っていた
- お茶やコーヒー、ジュースで飲んでいる日がある
- 飲み忘れた分を、あとでまとめて飲んだことがある
- 1日のうち、決まって飲めていない回がある
- 病院の薬を飲んでいることを、相談先に伝えていない
- 直射日光の当たる場所や、車の中に置いたままにしている
- 飲み方について聞きそびれたまま、なんとなく続けている
ひとつでも当てはまれば、次の来店時にメモして持っていく価値があります。
よくある質問
漢方薬は食前と食後、どちらで飲めばよいですか?
食前か食間をすすめられることが多いとされています。ただし胃に負担を感じる方には食後が案内される場合もあります。受け取ったときの指示が優先されますので、迷ったら相談先にご確認ください。
飲み忘れたら、2回分をまとめて飲んでもよいですか?
まとめて飲むことは、一般にすすめられていません。気づいた時点で1回分を飲み、次の時間が近ければその回を飛ばす形がよく案内されます。飲み忘れが続くときは、回数や形を見直せないか相談してみてください。
病院の薬と漢方薬は、どれくらい間隔をあければよいですか?
1時間ほどずらす配慮をすすめられる場合があります。ただし飲んでいるものによって考え方が変わるため、お薬手帳を持参して個別に確認しておくと安心です。病院の薬を自己判断でやめないでください。
漢方薬は冷蔵庫で保管したほうがよいですか?
粉薬は常温での保管を案内されることが多くあります。出し入れのたびに結露が起きると、湿気を吸ってしまうためです。煎じたあとの液は扱いが異なりますので、受け取り時にご確認ください。
白湯を用意できないときは、水でもよいですか?
常温の水であれば問題ないとされることが多いです。冷たすぎる水はおなかに負担を感じる方もいますので、可能な範囲で常温を選ぶとよいでしょう。
飲み方を聞きそびれました。今からでも聞いてよいですか?
問題ありません。多くのお店が電話やメールでの問い合わせを受け付けています。次回の来店を待たずに確認しておいたほうが、結果的に続けやすくなります。
まとめ:飲み方は、続けるための土台です
漢方薬は食前か食間、白湯か常温の水で。忘れてもまとめて飲まない。保管は高温多湿を避ける。
押さえる点はこれだけで、あとは自分の生活に合う形を相談しながら決めていくことになります。
飲み方の質問にどこまで付き合ってくれるかは、お店を見極めるひとつの目安にもなります。
「細かいことを聞いて申し訳ない」と感じる必要はありません。聞きやすさも、相談先を選ぶ基準のひとつです。
相談先を探すときは
漢方百名店では、全国の漢方相談店を、得意分野や相談の進め方とあわせてご紹介しています。
お店選びの考え方や、初めての相談の流れは、次の記事もあわせてご覧ください。



この記事の監修
飲み方の考え方は、呼吸器や内臓の相談を多く受ける先生と、病院や調剤薬局での勤務を経てきた先生とで、説明の切り口が変わります。
記事監修者 漢方薬局 太陽堂 薬局長 林 泰太郎

実績:伝統漢方研究会 2015~2017年・2019年・2020年・2022年 2025年学術発表
調剤薬局で3年間勤め、西洋の薬だけでは治療が難しい病気の壁に直面。
・「治療の難しい病気をなんとか治したい。」
・「ひとりでも多くの患者さんを笑顔にしたい。」
という想いから漢方の道へ。
漢方薬局で3年間修業をして、2015年 『漢方薬局 太陽堂』を立ち上げ。
開局10年を迎えた今も1ヶ月の平均来局数は900名を超え、お客様にご愛顧いただいている太陽堂の漢方薬剤師です。
記事監修者 漢方薬局 嶺耀堂 薬局長 武田 隆芳(たけだ たかよし)

実績:病院勤務4年・調剤薬局勤務8年の臨床経験 合計12年間
西洋医学の最前線で多くの患者さんと向き合う中で、薬で症状を抑えるだけではない「根本的な治癒」への渇望が芽生える。
・「身近な人の悩みにもっと深く関わり、本当に治る手助けがしたい。」
・「薬だけでなく、身体の内側から体質を変えていく感動を伝えたい。」
という強い想いから漢方の道へ。 現在は呼吸器や皮膚トラブル、精神疾患などを得意とし、漢方薬の処方はもちろん、食事や生活習慣のアドバイスまで含めた「二人三脚のサポート」を行っています。

