夏の疲れが秋に出る「夏の後遺症」|だるさ・咳・鼻水が9月に長引く理由と漢方の見方【薬剤師監修】

夏の疲れが秋に長引く「夏の後遺症」に関する漢方動画のサムネイル画像。上部に「夏の疲れを長引かせない!」、中央にメインタイトル「夏の疲れが秋に出る「夏の後遺症」」、サブタイトル「だるさ・咳・鼻水が9月に長引く理由と漢方の見方【薬剤師監修】」と書かれています。 画像は左右に対比されたイラストで構成されています。左側は「問題」を示しており、咳と鼻水、だるさに悩む、顔色の悪い女性のイラスト。「9月になってもだるい…」「咳・鼻水が止まらない…」「なぜ?」というテキストとアイコン。右側は「解決」を示しており、漢方薬局「根本解決漢方」の前で、笑顔で薬の袋を持ち、元気な女性のイラスト。「漢方で根本解決!」「ここだ!確かな相談」「元気いっぱい!」というテキストと、満タンバッテリー、上昇グラフのアイコン。 背景は和紙風で、周囲には高麗人参、生姜、シナモン、ナツメ、八角などのリアルな生薬のイラストが配置され、漢方の雰囲気を伝えています。

【この記事の要点】

  • 夏の疲れは涼しくなった9月に出てくることがあります。相談の場では「夏の後遺症」と言って来られる方が多くいます。
  • 秋口に増える相談は、自律神経の乱れ/抜けない疲れ/咳・痰・鼻水の3つです。
  • 「涼しくなれば自然に戻る」と思って放っておくと、秋に長引くことがあります。
  • 五月病のような不調は、春だけでなく秋にも起こります。これはあまり知られていません。
  • 監修:竹部 晃之(有限会社 いわい薬局・埼玉県さいたま市)/武田 隆芳(漢方薬局 嶺耀堂・東京都新宿区)

「夏の後遺症」という言葉が、相談の場で聞こえてきます

8月の終わりから9月にかけて、漢方相談の現場で増える言葉があります。

「疲れて仕方ないんです」

夏バテとは少し違います。暑さのピークは過ぎているのに、体が戻ってこない。

この状態を、ご自身で「夏の後遺症みたいなもの」と表現される方が少なくありません。

正式な言葉ではありませんが、感覚としてはよく伝わる表現だと思います。

夏に受けたダメージが、季節が変わってから表に出てくる。そういう感覚です。

秋口に増える相談は、大きく3つ

全国の漢方相談店に寄せられる相談を見ていくと、この時期は3つに集まります。

  • 自律神経の乱れ:気分が沈む、眠れない、動悸がする
  • 抜けない疲れ:寝ても回復しない、朝起きられない、食欲がない
  • 呼吸器まわりのアレルギー:咳、痰、鼻水が続く

この3つは、ばらばらに見えて「夏のあいだに消耗したこと」でつながっています

東洋医学では、夏は一年で最も「気(き=体を動かすエネルギー)」を使う季節と考えます。

汗をかき、冷たいものを摂り、冷房と外気の温度差にさらされる。すべて体力を使います。

使い切った状態のまま秋に入ると、季節の変化についていけなくなると考えられています。

【比較表】夏バテと「夏の後遺症」は、出るタイミングが違います

夏バテ「夏の後遺症」
出る時期7〜8月の暑い最中8月末〜9月。涼しくなってから
主な訴え食欲がない、暑くてだるい疲れて仕方ない、咳・痰、鼻水
本人の実感暑さのせいだと分かる原因が思い当たらない
気をつけたいこと水分と塩分、冷やしすぎ涼しくなっても戻らないとき

表のとおり、一番の違いは「涼しくなってから出る」ことです。だから原因に気づきにくいのです。

この時期によくある、4つの思い違い

① 涼しくなれば自然に戻る

一番多い思い違いです。実際、涼しくなって楽になる方はたくさんいます。

ただし9月に入っても戻らない場合は、そのまま秋を通して長引くことがあります。

目安は「涼しくなって2週間」。そこで変わらなければ、様子見以外の手を考える時期です。

② 咳や痰は、風邪の治りかけ

「風邪の名残だろう」と思って放っている方が多い症状です。

ですが秋口の咳や痰は、アレルギーや、別の背景が関わっていることがあります。

熱が出ていない、のどは痛くない、なのに咳だけ続く。この形のときは特にそうです。

3週間以上続く咳や、息苦しさを伴うときは、まず医療機関でご相談ください。

③ 秋の鼻水は花粉症だから、市販薬でいい

秋にも花粉はあります。ただし鼻水の原因は花粉だけではありません

朝晩の冷え込みで出る方、疲れがたまると出る方もいらっしゃいます。

市販薬でしのげているうちはよいのですが、毎年くり返すなら背景を見直す価値があります。

④ 夏バテには、スタミナのつくものを食べる

うなぎ、焼肉、揚げ物。元気をつけようとする気持ちはよく分かります。

ですが弱っている胃腸に脂っこいものを入れるのは、逆効果になることがあります

エンジンが弱っているところに、重い燃料を入れるようなものだからです。

この時期は、温かくて消化のよいものから戻していくほうが体はラクになります。

★あまり知られていないこと:五月病は、春だけではありません

この記事で一番お伝えしたいのが、この話です。

ゴールデンウィーク明けに増える、あの自律神経の乱れ。

実は同じような不調が、秋にも来ることが多いのです。

これは相談の現場では知られていますが、一般にはあまり語られていません。

春と秋には、共通点があります。どちらも生活と気候が大きく変わる時期だという点です。

春は新生活。秋は夏休み明け、行事、そして朝晩の急な冷え込み。

そこに「夏に消耗したまま」という条件が重なるのが、秋の難しいところです。

春の不調は「木の芽時」として知られています。秋にも同じことが起こると考えてください。

気持ちの落ち込みが強いとき、日常生活に支障が出ているときは、医療機関にもご相談ください。

▼「夏の後遺症」セルフチェック

当てはまる数が多いほど、夏の消耗を持ち越している可能性があります。

  • 涼しくなったのに、疲れが抜けない
  • 寝ても回復した気がしない。朝がつらい
  • 咳や痰が、風邪でもないのに続いている
  • 鼻水が出るが、花粉の時期という自覚はない
  • 気分が沈みやすい。理由もなくため息が出る
  • 夏のあいだ、冷たい飲み物やアイスが手放せなかった
  • 冷房のきいた場所に、長時間いることが多かった

相談の場では、こんなことを伺います

漢方相談では、症状の名前よりそこに至るまでの過ごし方を詳しく伺います。

この時期であれば、次のようなことです。

  • いつからその症状が出ているか。夏の前からか、後からか
  • この夏の食べ物・飲み物。冷たいものがどれくらい増えたか
  • 冷房環境。職場や自宅で、どのくらいの時間過ごしていたか
  • 眠り。寝つき、途中で目が覚めるか、朝の状態

思い出せる範囲で大丈夫です。正確に記録していなくても問題ありません

同じ「疲れて仕方ない」でも、背景が違えば整えるところも変わってくるためです。

よくある質問

夏の疲れは、いつまで様子を見てよいですか?

涼しくなって2週間が目安です。そこで変わらないときや、9月に入っても朝起きられない状態が続くときは、様子見以外の手を考えるタイミングと言えます。

秋に咳が続きます。何科に行けばよいですか?

まずは内科または呼吸器内科です。3週間以上続く咳、息苦しさ、発熱を伴う場合は、自己判断せず受診をおすすめします。

秋にも五月病のような状態になることがあるのですか?

相談の場ではよく見られます。春と秋はどちらも生活と気候が大きく変わる時期で、秋はそこに夏の消耗が重なります。春だけの話ではありません。

夏バテ対策に、うなぎや焼肉は食べないほうがよいですか?

食べてはいけないわけではありません。ただし胃腸が弱っているときは、脂っこいものが負担になることがあります。まず温かく消化のよいものから戻すほうがラクな場合が多いとされています。

秋の不調に、どんな漢方薬が用いられますか?

体の状態によって変わります。消耗を補う考え方では補中益気湯(ほちゅうえっきとう)などが、気の巡りに着目するときは半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)などが用いられることがあります。症状と薬が1対1で決まるものではありません。

まとめ

夏の疲れは、暑いあいだではなく涼しくなってから出てくることがあります。

「疲れて仕方ない」「咳が続く」「鼻水が止まらない」。この3つが重なるなら、夏の持ち越しかもしれません。

そして五月病のような不調は、秋にも起こります。春だけの話ではありません。

気になる方は、信頼できる漢方薬局リストからお近くの相談先をご覧ください。


この記事の監修

記事監修者 (有)いわい薬局 代表薬剤師 竹部 晃之(たけべ てるゆき)

実績:国際中医専門員 / 全国実力薬局100選 7年連続選出

2005年に薬剤師となり、東京の漢方薬局で約10年間の臨床経験を積む中で、心と体の繋がりの深さを痛感。

・「もしも、不調に悩むお客様が自分の家族だったら。」
・「ただ薬を渡すだけでなく、心の奥にある不安まで受け止めたい。」

という信念のもと、創業45年を超える『いわい薬局』を継承。
現在は「メンタル・皮膚トラブル・子宝」などの相談を中心に、初回は1時間以上かけてじっくり話を聴く「カウンセリング重視」の漢方相談を行っています。

記事監修者 漢方薬局 嶺耀堂 薬局長 武田 隆芳(たけだ たかよし)

実績:病院勤務4年・調剤薬局勤務8年の臨床経験 合計12年間

西洋医学の最前線で多くの患者さんと向き合う中で、薬で症状を抑えるだけではない「根本的な治癒」への渇望が芽生える。

・「身近な人の悩みにもっと深く関わり、本当に治る手助けがしたい。」
・「薬だけでなく、身体の内側から体質を変えていく感動を伝えたい。」

という強い想いから漢方の道へ。 現在は呼吸器や皮膚トラブル、精神疾患などを得意とし、漢方薬の処方はもちろん、食事や生活習慣のアドバイスまで含めた「二人三脚のサポート」を行っています。