【この記事の要点】
- ドラッグストアの漢方薬は「第2類医薬品」。決められた組み合わせを、自分で選んで買う仕組みです。
- 専門薬局の漢方は、体質を聞き取ってから組み立てます。同じ症状でも中身が変わります。
- 差が出る理由は3つ。①中身の決まり方 ②選び方 ③値段の内訳です。
- 市販薬が悪いわけではありません。短期の不調にはドラッグストア、長引く不調は相談、が目安です。
- 監修:武田 隆芳 先生(嶺耀堂/東京都新宿区)/前原 信太郎 先生(太陽堂/東京都新宿区)
「ドラッグストアで葛根湯を買ったけれど、いまひとつピンとこなかった」。
そんな経験から、漢方薬局を調べ始めた方は少なくありません。
同じ「漢方薬」という名前なのに、売られ方も、選ばれ方も、値段の仕組みも違います。
この記事では、その差が生まれる3つの理由を、順番に整理します。
その1:中身の決まり方の違い|市販薬は「第2類医薬品」
ドラッグストアの漢方薬は、法律上どう分類されているか
まず事実の整理から始めます。市販の漢方薬の多くは「第2類医薬品」に分類されています。
第2類医薬品(だいにるいいやくひん)とは、一般用医薬品を3段階に分けたうちの真ん中です。
この区分は、薬剤師だけでなく登録販売者も販売できると決められています。
つまり、買う側が自分で棚から選び、そのまま会計できる仕組みになっています。
中身も、あらかじめ決められた生薬の組み合わせと分量で固定されています。
病院で出る漢方薬は「医療用医薬品」
もうひとつ、病院で処方される漢方薬があります。こちらは医療用医薬品です。
エキス剤(生薬の煮出し液を粉にしたもの)が中心で、健康保険が使えます。
市販薬と同じ処方名でも、医療用のほうが生薬の量が多い場合があるとされています。
病院ではその前に、血液検査や画像検査で体の状態を確かめることもあります。
数値の異常を見つけるという点では、検査は西洋医学のいちばん得意な仕事です。
専門薬局の漢方は、聞き取ってから組み立てる
漢方相談店では、体質や生活を聞き取ったうえで組み合わせを考えていきます。
エキス剤のほか、生薬を煎じるタイプを扱う店もあります。
同じ「肩こり」でも、選ばれる中身が人によって変わるのが、いちばん大きな違いです。

武田 隆芳 先生(嶺耀堂/東京都新宿区)のコラム
病院と調剤薬局を経て漢方の道に入った立場から見ると、どちらにも役割があります。
急に始まった不調や、はっきりした痛みには、まず検査で確かめる道筋が向いています。
一方で、検査では拾いきれない不調を相談される方も多くいらっしゃいます。
市販薬を試したこと自体は、体の反応を知る手がかりになります。遠慮なくお話しください。
その2:選び方の違い|「症状で選ぶ」と「体質から選ぶ」
2つめの違いは、選ぶときに何を手がかりにするかです。
ドラッグストアでは、箱に書かれた症状名を見て選ぶのが基本の形になります。
東洋医学では、症状名だけでなく「体のどこが余っていて、どこが足りないか」を見ます。
この考え方の土台が、気血水(きけつすい=体をつくる3つの要素)です。
たとえば、同じ「冷え」でも、めぐりが滞っている場合と、力が足りない場合があります。
この見立てが違えば、選ばれる組み合わせも変わってくると考えられています。
体格や胃腸の丈夫さによって、合う量が変わることも知られています。
市販薬でうまくいかなかった方が、中身ではなく選び方でつまずいていたこともあります。
その3:値段の違い|何にお金を払っているか
3つめは値段です。ここは内訳を見ると分かりやすくなります。
| 項目 | ドラッグストア | 病院 | 漢方相談店 |
|---|---|---|---|
| 薬の区分 | 第2類医薬品など | 医療用医薬品 | 第2類医薬品・生薬など |
| 保険 | 使えない | 使える | 使えない |
| 選ぶ人 | 自分 | 医師 | 相談して一緒に |
| 値段に含まれるもの | 薬の代金 | 診察料+薬代(保険適用後) | 薬の代金+相談の時間 |
表のとおり、3つの窓口は「誰が選ぶか」と「保険が使えるか」で分かれます。
相談店の金額に差が出るのは、薬代のほかに相談の時間が含まれるためです。
実際の相場や、予算に合わせた進め方は、次の記事でくわしく紹介しています。

前原 信太郎 先生(太陽堂/東京都新宿区)のコラム
調剤薬局で働いていた頃と今とで、いちばん変わったのは話を聞く時間の長さです。
痛みの相談ひとつでも、いつ強くなるか、どこが楽かで、見えてくるものが変わります。
ドラッグストアの棚の前では、その時間を取ることが難しいという事情もあります。
どちらが上ということではなく、向いている場面が違うとお考えください。
市販の漢方薬を自分で選ぶときの3つの注意
ドラッグストアを使う場面も当然あります。そのときの目安を3つ挙げます。
- 期間を決める:2週間ほど続けても変化がなければ、いったん立ち止まる
- 重ねない:似た処方を同時に飲むと、同じ生薬が重なることがある
- お薬手帳に書く:病院の薬と組み合わせる場合は、忘れずに記録しておく
店頭に薬剤師や登録販売者がいる時間帯なら、その場で相談することもできます。
どちらを選ぶ?セルフチェック
次の6つのうち、いくつあてはまるか数えてみてください。
- その不調が3か月以上続いている
- 市販の漢方薬を2種類以上ためした
- 病院の検査では「異常なし」と言われた
- 気になる不調が2つ以上ある
- 冷え・胃腸の弱さなど、もともとの体質が気になる
- どれを選べばいいのか、自分では判断できない
3つ以上あてはまるなら、一度じっくり相談する価値があると考えてよいでしょう。
0〜1つで、風邪のひきはじめなど短期の不調なら、市販薬で様子を見る形でも構いません。
なお、強い痛みや急な変化があるときは、先に医療機関で調べてもらってください。
この記事の監修
記事監修者 漢方薬局 嶺耀堂 薬局長 武田 隆芳(たけだ たかよし)

実績:病院勤務4年・調剤薬局勤務8年の臨床経験 合計12年間
西洋医学の最前線で多くの患者さんと向き合う中で、薬で症状を抑えるだけではない「根本的な治癒」への渇望が芽生える。
・「身近な人の悩みにもっと深く関わり、本当に治る手助けがしたい。」
・「薬だけでなく、身体の内側から体質を変えていく感動を伝えたい。」
という強い想いから漢方の道へ。 現在は呼吸器や皮膚トラブル、精神疾患などを得意とし、漢方薬の処方はもちろん、食事や生活習慣のアドバイスまで含めた「二人三脚のサポート」を行っています。
記事監修者 漢方薬局 太陽堂 漢方薬剤師 前原 信太郎

実績:伝統漢方研究会 2017年・2021年 学術発表
祖父が沖縄で開業医をしていた影響もあって、薬に触れる仕事がしたいと「薬学」の道へ。
6 年間調剤薬局に勤めていましたがライフスタイルや食生活が変化する現代において、調剤(病院のお薬)だけで病気を治していく事に限界を感じ、2017年漢方薬局 太陽堂に入局。
その中で一人一人の体質に合わせて病気を改善していく漢方に出会い、その道に進み、今に至る。
よくある質問
ドラッグストアの漢方で調子がよければ、そのままでいいですか?
そのまま続けていただいて構いません。ただし、長く飲み続ける場合や、ほかの薬と一緒に飲む場合は、一度専門家に見てもらうと安心です。同じ生薬が重なっていないかを確かめられます。
市販の漢方薬と、病院の漢方薬は何が違いますか?
大きな違いは区分と保険です。市販薬は第2類医薬品などに分類され、保険は使えません。病院で処方されるものは医療用医薬品で、保険が使えます。同じ処方名でも生薬の量が異なる場合があるとされています。
専門薬局でも、市販薬のような粉薬は買えますか?
扱っている店が多くあります。粉薬(エキス剤)と、生薬を煮出す煎じ薬の両方を用意している店もあります。手間や香り、続けやすさが違うため、生活に合うほうを一緒に選ぶ形が一般的です。
相談だけしてみることはできますか?
できます。多くの相談店では、その場で購入を決めなくてよい形になっています。予算や通える頻度を先に伝えておくと、無理のない範囲で提案してもらいやすくなります。
病院に通いながら、漢方相談店を使ってもいいですか?
併用している方は多くいます。その場合は、お薬手帳を持参して処方内容を伝えてください。あわせて、漢方薬を飲んでいることを、かかりつけの医師にも伝えておくと安心です。
まとめ
- 中身の決まり方:市販薬は組み合わせが固定。相談店は聞き取ってから組み立てます。
- 選び方:市販薬は症状名で選び、東洋医学では気血水などの体質から選びます。
- 値段:相談店の金額には、薬代のほかに相談の時間が含まれます。
- 使い分け:短期の不調は市販薬、3か月以上続く不調は相談、が目安になります。
相談先を探すときは
初めての相談がどう進むかは、次の記事で流れを追って紹介しています。


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