【この記事の要点】
- 「瘀血(おけつ)」とは、東洋医学で血の巡りが滞った状態を指す言葉です。病院で言う血栓とは別の見方です。
- 瘀血のサインが出る場所によって、相談を多く受けている先生の得意分野が違います。入口は婦人科・痛み・皮膚・メンタルの4つです。
- 相談では「いつから・どこに・どんなときに」と、生理や冷え、飲んでいる薬を伝えると、見立てが進みやすくなります。
- 突然の強い痛み、片側だけのむくみやしびれは、漢方相談より先に病院で確かめてください。
- 監修:石田 友里 先生(くら石・静岡県掛川市)/武田 隆芳 先生(嶺耀堂・東京都新宿区)
「漢方薬局で『瘀血ですね』と言われた。でも、何をどこに相談すればいいの?」
「生理痛も肩こりもある。どちらを先に相談すればいいのか分からない」
相談の場で「瘀血」という言葉を初めて聞くと、次の一歩に迷う方が多いようです。
結論から言うと、瘀血のサインが出ている場所に合わせて、その相談を多く受けている先生を選ぶのが近道です。
この記事では、婦人科・痛み・皮膚・メンタルの4つの入口と、それぞれの相談で伝えたいことを整理します。
病院ではどう見るか|「瘀血」と「血栓」は別のもの
瘀血(おけつ)は東洋医学の体の見方で、病院の検査項目や病名の中にはありません。
病院で血の状態を調べるときは、血液検査や画像で血の塊(血栓)や血管の詰まりがあるかどうかを見ます。
血液検査で見ている数値
D-ダイマーは、体の中で血の塊ができて溶けたときに上がる値で、血栓が疑われるときに測られます。
血小板の数は血が固まる力に関わり、コレステロールや中性脂肪は血管の状態を考える材料になります。
婦人科では、超音波(エコー)で子宮筋腫や子宮内膜症の有無を確かめることがあります。
これらの検査で「異常なし」でも、東洋医学では瘀血のサインを見ることがあります。見ているものが違うからです。
病院の薬との関係
血栓を防ぐ薬(抗血小板薬・抗凝固薬など)を飲んでいる方は、漢方相談のときにその事実を伝えてください。
一方で、瘀血は病名ではないため、病院で「瘀血の薬」が出ることはありません。
漢方相談より先に受診したい症状
突然の強い頭痛や胸の痛み、片側の脚だけが腫れて痛む、手足のしびれやろれつが回らない、といった症状は別です。
こうしたときは漢方相談ではなく、まず病院で血栓や血管の病気がないかを確かめてください。
【石田 友里 先生からのアドバイス】
私は婦人科の相談を多く受けていますが、「瘀血」の一言で終わらせないようにしています。
同じ瘀血でも、冷えが土台の方と、ストレスで気が滞っている方では、相談の進め方が違うからです。
生理の周期、痛みの出る日、経血の様子は、相談のときに大切な手がかりになります。
恥ずかしいと感じる話でも、メモにして持ってきていただければ十分です。
東洋医学ではどう見るか|瘀血は「血の渋滞」
東洋医学では、瘀血を「血の巡りが滞って、古い血がとどまった状態」と考えます。道路の渋滞に似ています。
血(けつ)は体を養い、温める働きを持つとされ、滞ると痛み・しこり・くすみ・冷えのぼせなど、さまざまな形で表れるとされています。
気滞・血虚と重なることが多い
気滞(きたい=気の流れが滞った状態)があると、気に押されて動く血も動きにくくなるとされています。
血虚(けっきょ=血が足りない状態)では、巡らせる血そのものが少なく、瘀血と血虚が同時に見られる方もいます。
つまり、瘀血は単独で見るより「何が土台で滞っているか」とセットで見立てられることが多いのです。
この土台の見方は先生によって重点が違い、同じ「瘀血」でも相談先ごとに説明の言葉が変わることがあります。
だから「どこに出ているか」で入口が変わる
婦人科の相談を多く受ける先生は生理の記録から、痛みの相談を多く受ける先生は姿勢や動きから、瘀血を読み取ります。
自分のサインが一番強く出ている場所を入口にすると、相談の言葉が通じやすくなります。
入口別・よくある相談と伝えることの比較表
| 入口 | よくある相談 | 相談で伝えること |
|---|---|---|
| 婦人科 | 生理痛・経血の塊・不妊・更年期ののぼせ | 周期と痛む日・基礎体温・婦人科の検査結果・ピルやホルモン剤 |
| 痛み | 肩こり・頭痛・関節のこわばり | 痛む場所と時間帯・姿勢や仕事・鎮痛剤を使う頻度 |
| 皮膚 | くすみ・消えにくいあざ・乾燥・しみ | いつから・部位・季節で変わるか・使っている外用薬 |
| メンタル・自律神経 | 冷えのぼせ・不眠・イライラ・動悸 | 眠りの様子・ストレスの出来事・冷えとほてりが出る時間帯 |
まとめると、入口は4つでも、「いつから・どこに・どんなときに」の3点は、どの入口でも共通して聞かれます。
迷ったら、一番つらい症状を入口にして構いません。相談の中で別の入口が見えてきたら、先生がつないでくれます。
【武田 隆芳 先生からのアドバイス】
私は病院で4年、調剤薬局で8年働いてから漢方の道に入ったので、病院の検査と東洋医学の見方の違いを意識しています。
痛みや皮膚の相談で瘀血を考えるときも、病院で確かめておきたい症状が無いかを先に聞きます。
そのうえで、痛む場所や時間帯、肌の色の変化を細かく聞いていくと、血の滞りの手がかりが見えてきます。
「どこに相談すればいいか分からない」という段階で来ていただいて構いません。
瘀血のサインが出る場所で選ぶ・4つの入口
ここからは、入口ごとに「どんな相談が多いか」と「相談で伝えること」を見ていきます。
入口1:婦人科(生理・不妊・更年期)
生理痛が年々強くなる、経血に塊が混じる、生理前に下腹部が張る、といった相談が入ります。
不妊や更年期の相談でも、瘀血の見方が使われることがあります。不妊・更年期・PMSの相談を多く受けている先生が、この入口の中心です。
相談で伝えることは、生理の周期と日数、痛みが出る日、基礎体温の記録、婦人科で受けた検査の結果です。
ピルやホルモンの薬を使っている場合は、その名前も伝えてください。
滋賀の漢方専門店 連珠庵が、生理痛と瘀血の考え方を書いた読み物があります。この入口のイメージをつかむ参考にしてください。

入口2:痛み(肩こり・頭痛・関節)
同じ場所がいつも痛む、夜や寒い日に痛みが強まる、押すと痛い、といった相談です。
東洋医学では、決まった場所に出る刺すような痛みを、瘀血のサインの一つと考えることがあります。
痛みの相談を多く受けている先生は、姿勢・仕事の内容・運動の有無・冷えの出る場所をよく聞きます。
相談で伝えることは、痛む場所と時間帯、きっかけ(長時間のデスクワーク・冷えなど)、鎮痛剤を使う頻度です。
入口3:皮膚(くすみ・あざ・乾燥)
顔色が暗い、目の下のくま、ぶつけた覚えのないあざ、乾燥してざらつく、といった相談です。
皮膚の相談を多く受けている先生は、皮膚そのものと、巡りや冷えなど体の内側の両方を見ます。
相談で伝えることは、いつからか、どの部位か、季節で変わるか、皮膚科で使っている外用薬の名前です。
肌の状態を日付つきの写真で残しておくと、変化を一緒に追いやすくなります。
入口4:メンタル・自律神経(冷えのぼせ・不眠)
足は冷えるのに顔がほてる、寝つきが悪い、イライラと落ち込みを繰り返す、といった相談です。
東洋医学では、気の滞りと血の滞りが重なって、こうしたサインが出ると考えることがあります。
自律神経やメンタルの相談を多く受けている先生は、眠りの様子とストレスの出来事を丁寧に聞きます。
相談で伝えることは、眠れない日のパターン、冷えとほてりが出る時間帯、心療内科などで出ている薬の名前です。
心の不調が強く、日常生活に差し支えているときは、医療機関の受診も並行して考えてください。
自宅でできる準備・食養生
入口を決めたら、相談までの間にできる準備があります。中心は「記録を残すこと」です。
- 症状の記録を2週間つける:いつ・どこに・どんなときに出たか。生理のある方は周期も
- 飲んでいる薬とサプリを書き出す:血栓を防ぐ薬・ピル・鎮痛剤は特に伝えたい
- 病院の検査結果を持参する:血液検査・婦人科の超音波の結果など
- 冷えの出る場所をメモする:手足・お腹・腰のどこが、どの時間帯に冷えるか
- 一日の過ごし方を書く:座っている時間・運動・入浴の有無
食養生の面では、体を冷やす飲食を控え、温かいものをよくかんで食べるのが基本とされています。
相談に行く前の準備セルフチェック
次の5つで、相談の準備が整っているか確かめてください。
- 一番つらい症状がどれかを、自分の言葉で言える
- その症状がいつから・どんなときに出るかを、記録している
- 飲んでいる薬・サプリ・使っている外用薬の名前を書き出した
- 病院で受けた検査の結果(あれば)を持っていく準備ができている
- 突然の強い痛みや片側のむくみなど、先に受診したい症状が無いことを確かめた
3つ以上そろっていれば、相談の準備は十分です。足りない項目は、相談の場で先生と一緒に埋めれば構いません。
この記事の監修
記事監修者 漢方薬局 くら石 薬局長 石田 友里(いしだ ゆり)

実績:国際中医専門員A級 / 調布漢方特区プロジェクト 薬膳講師 / 伝統漢方研究会 学術論文発表(2021年・2024年)
合気道歴25年で培った「心を整える(マインドフルネス)」視点を活かし、不妊症や更年期障害、不安神経症など、心身のバランスに関わる繊細な悩みを得意とする。
・「体だけでなく、その人の人生そのものを応援したい。」
・「カウンセリングのように、話すだけで元気になってほしい。」
という想いで、生活背景までじっくり聞き取る相談スタイルを確立。
時には人生相談のようになる深い対話を通じて、患者さんが笑顔で自分らしい人生を歩めるよう温かくサポートしています。
記事監修者 漢方薬局 嶺耀堂 薬局長 武田 隆芳(たけだ たかよし)

実績:病院勤務4年・調剤薬局勤務8年の臨床経験 合計12年間
西洋医学の最前線で多くの患者さんと向き合う中で、薬で症状を抑えるだけではない「根本的な治癒」への渇望が芽生える。
・「身近な人の悩みにもっと深く関わり、本当に治る手助けがしたい。」
・「薬だけでなく、身体の内側から体質を変えていく感動を伝えたい。」
という強い想いから漢方の道へ。 現在は呼吸器や皮膚トラブル、精神疾患などを得意とし、漢方薬の処方はもちろん、食事や生活習慣のアドバイスまで含めた「二人三脚のサポート」を行っています。
この記事を監修した先生が相談を受けているお店です。相談先を探すときの参考にしてください。


よくある質問
瘀血と言われたら、病院に行くべきですか?
瘀血と言われただけなら、急いで受診する必要はありません。瘀血は東洋医学の見方で、病名ではないからです。
ただし、突然の強い痛みや片側のむくみ・しびれがあるときは、先に病院で確かめてください。
瘀血は血液検査で分かりますか?
血液検査に「瘀血」という項目はありません。病院の検査は血栓や血管の状態を見ていて、見ているものが違います。
検査で異常がなくても、東洋医学で瘀血のサインを見ることはあります。
瘀血はどんな漢方薬局に相談すればいいですか?
サインが強く出ている場所に合わせて、婦人科・痛み・皮膚・メンタルのうち、その相談を多く受けている先生を選ぶのが目安です。
得意分野は、お店の紹介ページや口コミで確かめられます。
瘀血は男性にもありますか?
あります。瘀血は生理のある女性だけの話ではなく、肩こりや頭痛、くすみなど、男性にも見られるとされています。
男性は、痛みや皮膚の入口から相談に入る方が多いようです。
生理痛と肩こりの両方があります。どちらで相談すればいいですか?
一番つらいほうを入口にして構いません。相談では、両方あることを伝えてください。
瘀血は体全体の見方なので、どちらから入っても、もう一方も一緒に見てもらえることが多いとされています。
まとめ
- 瘀血は、東洋医学で「血の巡りが滞った状態」を指す言葉です。病院で言う血栓とは別の見方です。
- 相談の入口は、婦人科・痛み・皮膚・メンタルの4つ。サインが出ている場所で、その相談を多く受けている先生を選びます。
- どの入口でも「いつから・どこに・どんなときに」と、薬・検査結果を伝えると見立てが進みます。
- 突然の強い痛みや片側のむくみ・しびれは、漢方相談より先に病院で確かめてください。
相談先を探すときは
漢方百名店では、婦人科・痛み・皮膚・メンタルなど、得意分野を明記した全国の漢方薬局を紹介しています。
瘀血などの言葉の意味、体質の見方、症状から選ぶ店の基準、先生ごとに見立てが変わる理由も、あわせて参考にしてください。



「瘀血」と言われて迷っているなら、一番つらい症状を入口にして、まず近くの漢方薬局に相談してみてください。
