漢方薬局の先生の肩書きの見方|国際中医専門員・学術発表・実力薬局100選の意味

【この記事の要点】

  • 漢方薬局の先生の肩書きには、国の資格(薬剤師・登録販売者)と、民間の認定・実績(国際中医専門員・学術発表・実力薬局100選など)があります。
  • 国際中医専門員は中医学の知識を審査する民間の認定、学術発表は研究会で症例や考え方を同業に示した実績、実力薬局100選は民間が選ぶ企画です。
  • 肩書きは「何を学び、何を続けてきたか」を知る手がかりで、相談の相性や得意分野を保証するものではありません。
  • 肩書きを見たら、得意分野・相談の形・説明の分かりやすさの3つと合わせて判断すると、選びやすくなります。
  • 監修:竹部 晃之 先生(いわい薬局・埼玉県さいたま市)/前原 信太郎 先生(漢方薬局 太陽堂・東京都新宿区)

「薬局のサイトに『国際中医専門員』『実力薬局100選』と書いてある。すごい先生なの?」

「学術発表って何? 肩書きが多い先生を選べばいいの?」

漢方薬局のサイトやプロフィールには、いろいろな肩書きが並んでいます。意味を知らないまま眺めても、判断の材料にはなりません。

結論から言うと、肩書きは「その先生が何を学び、何を続けてきたか」を知る手がかりです。相性や得意分野を保証するものではありません。

この記事では、よく見る肩書きの意味と限界、病院の専門医制度との比べ方、肩書き以外に見ておきたいことを整理します。

病院ではどう見るか|医師の専門医・認定医の制度と比べる

病院の医師にも「専門医」「認定医」という肩書きがあります。これと漢方薬局の肩書きは、しくみが違います。

医師の専門医は、学会や日本専門医機構が、研修と試験をもとに認定する制度で、内科・小児科など基本となる領域が決められています。

漢方の分野では、日本東洋医学会が認定する「漢方専門医」があります。医師が対象の認定です。

広告に書ける専門医は決まっている

病院の広告(看板・サイト)に書ける専門医の名前は、医療広告のルールで一定の基準を満たしたものに限られています。

一方、漢方薬局の肩書きの多くは、こうした公的な枠組みの外にある民間の認定や実績です。

「公的な制度か、民間の認定か」を見分けることが、肩書きを読む最初の一歩になります。

薬剤師・登録販売者は国の資格

漢方薬局で薬を扱う人は、薬剤師(国家資格)か登録販売者(都道府県の試験に合格した資格)のどちらかです。

この2つは、法律で「扱える薬の範囲」が決まっている、土台の資格です。資格の違いは別の記事で詳しく扱っています。

【前原 信太郎 先生からのアドバイス】

私は伝統漢方研究会で学術発表を続けていますが、発表そのものが相談の良し悪しを決めるとは思っていません。

発表の場で何を学び、それを目の前の方の相談にどう返しているかが大切だと考えています。

肩書きを見て気になったら、「どんな発表をされたんですか」と聞いてみてください。得意分野や考え方がよく分かります。

痛みや皮膚の相談では、まず今までの経過をゆっくり聞くことから始めています。肩書きより、その時間を大切にしています。

東洋医学ではどう見るか|肩書きは「学んだ体系」と「積み重ね」を映す

東洋医学の相談は、体質と症状をまとめた「証(しょう)」の見立てが土台です。見立ての力は、学んだ体系と積み重ねた経験で育ちます。

肩書きは、その「学んだ体系」と「積み重ね」を、外から見えるようにしたものです。

学んだ体系を表す肩書き|国際中医専門員など

国際中医専門員は、中医学(中国で体系化された東洋医学)の知識を審査する民間の認定で、国の資格ではありません。

A級などの等級が付くことがあり、持っている先生は弁証論治(べんしょうろんち=体の状態を分類してから薬を決める手順)を学んだ方です。

ただし日本漢方(日本で発展した流れ)も学び、両方を使う先生も多いとされています。

積み重ねを表す肩書き|学術発表・創業年・○年連続

伝統漢方研究会などの研究会での学術発表は、自分の相談の経過や考え方を、同業の先生の前で示した実績です。

創業年や「○年連続」は、長く続いていること・続けて選ばれていることを表します。

どちらも「続けてきた」ことの証しですが、あなたの悩みに合うかどうかは別の話です。

肩書きが少ない先生=経験が浅い、ではない

認定を取らず、発表もせず、相談の現場に時間を注いでいる先生もいます。

肩書きの数は、学び方・働き方の違いを映すもので、相談の質の順位ではありません。

よく見る肩書きの意味と限界の比較表

肩書き 意味 限界(これだけでは分からないこと)
薬剤師・登録販売者 国の資格。扱える薬の範囲が法律で決まる 漢方の得意分野や相談の相性
国際中医専門員 中医学の知識を審査する民間の認定。A級などの等級がある場合も 日本漢方の考え方で見てほしい人との相性
学術発表 研究会で症例や考え方を同業に示した実績 発表の分野と、自分の悩みが合うか
全国実力薬局100選 民間が選ぶ企画。「○年連続」は続けて選ばれたこと 選ぶ基準は主催側のもの。自分との相性
創業年・歴史 店が長く続いてきたこと 今の先生の得意分野・相談の形

まとめると、肩書きは「学んだ体系」か「積み重ね」のどちらかを表すもので、「あなたに合うか」は映していません。

【竹部 晃之 先生からのアドバイス】

私は国際中医専門員で、いわい薬局は全国実力薬局100選にも選ばれてきました。ただ、それを目当てに来てほしいとは思っていません。

肩書きは「この先生はこういう勉強をしてきた」という自己紹介のようなものです。

メンタルや皮膚の悩みで来られる方には、まず生活の様子をゆっくり聞きます。そこは肩書きではなく、時間と向き合い方の問題です。

気になる肩書きがあれば、遠慮なく「これはどういう意味ですか」と聞いてください。説明できることも、先生を見る材料になります。

肩書きの見方|国際中医専門員・学術発表・実力薬局100選をどう読むか

国際中医専門員|「中医学を学んだ」と読む

国際中医専門員の表示があれば、中医学の体系を学び、審査を受けた先生だと読めます。

舌診・脈診を使い、気・血・水の分類で説明する相談の進め方を好む方には、手がかりになる肩書きです。

ただし、国の資格ではないこと、日本漢方で見る先生との優劣ではないことは覚えておいてください。

聞き方の例:「国際中医専門員とありますが、相談ではどんな見方をされますか」

学術発表|「何を発表したか」まで読む

学術発表は、発表の年と内容がプロフィールに書かれていることが多いです。

発表の分野(皮膚・婦人科・痛みなど)が、あなたの悩みと近いかどうかが、読むときのポイントです。

発表は同業の先生の前で行うため、相談の進め方を言葉にして説明できる先生、と読むこともできます。

聞き方の例:「発表された内容は、私の相談と関係がありますか」

全国実力薬局100選・○年連続|「続けて選ばれた」と読む

全国実力薬局100選は、国や自治体の制度ではなく、民間が選ぶ企画とされています。

「7年連続」のような表記は、続けて選ばれていることを表します。

ただし、選ぶ基準は主催側のもので、あなたの悩みとの相性を測ったものではありません。

店の継続性や、外から評価されていることの手がかりとして読むのが適切です。

創業年・「三代目」|「店の歴史」と「今の先生」を分けて読む

創業年や「三代目」といった表記は、店が長く続いてきたことを表します。

ただし、相談に乗るのは今の先生です。店の歴史と、今の先生の得意分野・相談の形は分けて見ると、判断を誤りにくくなります。

サイトのプロフィールで、今の先生が何を得意としているかを確かめてください。

自宅でできる準備|肩書きと一緒に見ておきたい3つのこと

肩書きを読んだら、次の3つと合わせて見ると、相談先を選びやすくなります。

  • 得意分野:サイトの「相談の多い悩み」や症例の紹介が、自分の悩みと近いか
  • 相談の形:対面・オンライン・予約制・相談時間の長さが、自分の生活に合うか
  • 説明の分かりやすさ:初回の電話やメールの返事で、言葉が分かりやすいか

肩書きは入口、得意分野と相談の形は本体、説明の分かりやすさは相性と考えると、迷いにくくなります。

肩書きだけで選んでいないか分かるセルフチェック

次の項目に、いくつ当てはまるか数えてください。

  • 肩書きの意味を知らないまま「なんとなくすごそう」で選んでいる
  • 自分の悩みが、その先生の得意分野と合うかを確かめていない
  • 対面かオンラインか、予約制か、相談時間など、相談の形を見ていない
  • 肩書きの少ない先生を、それだけで候補から外している
  • 気になる肩書きについて、先生に直接聞いたことがない

2つ以上当てはまる方は、肩書きの意味をひとつずつ確かめ、得意分野と相談の形を見直してから選んでみてください。

1つ以下の方は、肩書きを手がかりの一つとして、うまく使えています。

この記事の監修

記事監修者 (有)いわい薬局 代表薬剤師 竹部 晃之(たけべ てるゆき)

実績:国際中医専門員 / 全国実力薬局100選 7年連続選出

2005年に薬剤師となり、東京の漢方薬局で約10年間の臨床経験を積む中で、心と体の繋がりの深さを痛感。

・「もしも、不調に悩むお客様が自分の家族だったら。」
・「ただ薬を渡すだけでなく、心の奥にある不安まで受け止めたい。」

という信念のもと、創業45年を超える『いわい薬局』を継承。
現在は「メンタル・皮膚トラブル・子宝」などの相談を中心に、初回は1時間以上かけてじっくり話を聴く「カウンセリング重視」の漢方相談を行っています。

記事監修者 漢方薬局 太陽堂 漢方薬剤師 前原 信太郎

実績:伝統漢方研究会 2017年・2021年 学術発表

祖父が沖縄で開業医をしていた影響もあって、薬に触れる仕事がしたいと「薬学」の道へ。

6 年間調剤薬局に勤めていましたがライフスタイルや食生活が変化する現代において、調剤(病院のお薬)だけで病気を治していく事に限界を感じ、2017年漢方薬局 太陽堂に入局。

その中で一人一人の体質に合わせて病気を改善していく漢方に出会い、その道に進み、今に至る。

この記事を監修した先生が相談を受けているお店です。相談先を探すときの参考にしてください。

よくある質問

国際中医専門員とは何ですか?

中医学の知識を審査する民間の認定で、国の資格ではありません。A級などの等級が付くことがあります。

持っている先生は中医学を学んだ方ですが、日本漢方も学んでいる先生も多いとされています。

全国実力薬局100選はどんな基準で選ばれますか?

国や自治体の制度ではなく、民間が選ぶ企画とされています。選ぶ基準は主催側が決めており、「○年連続」は続けて選ばれたことを表します。

店の継続性の手がかりとして読み、相性は相談の場で判断してください。

学術発表をしている先生のほうが良い先生ですか?

発表は、相談の経過や考え方を同業に示した実績で、良し悪しの順位ではありません。

発表の分野が自分の悩みと近いかを見るのが、読み方のポイントです。

肩書きが何もない漢方薬局は避けたほうがいいですか?

避ける理由にはなりません。薬剤師か登録販売者であれば、法律上の土台はそろっています。

得意分野・相談の形・説明の分かりやすさで判断してください。

肩書きについて先生に質問しても失礼ではありませんか?

失礼ではありません。「これはどういう意味ですか」と聞けば、多くの先生は説明してくれます。

説明の分かりやすさも、相性を見る材料になります。

まとめ

  • 漢方薬局の肩書きは、国の資格(薬剤師・登録販売者)と、民間の認定・実績(国際中医専門員・学術発表・実力薬局100選など)に分かれます。
  • 国際中医専門員は「中医学を学んだ」、学術発表は「考え方を同業に示した」、実力薬局100選は「民間の企画で続けて選ばれた」と読みます。
  • 肩書きは学んだ体系と積み重ねを映すもので、あなたとの相性や得意分野を保証するものではありません。
  • 得意分野・相談の形・説明の分かりやすさの3つと合わせて見て、気になる肩書きは先生に直接聞いてみましょう。

相談先を探すときは

漢方百名店では、先生の資格や実績、得意分野が分かる形で、全国の漢方薬局を紹介しています。

薬剤師・登録販売者の資格の違い、口コミの読み方、有名店と近くの店の選び方、得意分野での選び方もあわせて参考にしてください。

気になる肩書きを見つけたら、その意味を確かめたうえで、得意分野と相談の形が合う近くの漢方薬局に、まず一度相談してみてください。