漢方薬が飲みにくいときは薬局に相談|形を変えられる店と相談で伝えたい3つのこと

【この記事の要点】

  • 漢方薬が苦い・匂いが苦手・粉が飲めないときは、やめる前に漢方薬局へ相談してください。形を変えられることがあります。
  • 相談で伝えたいことは3つ。何が苦手か、誰が飲むか、続けたい気持ちと生活のリズムです。
  • 錠剤・カプセル・エキス顆粒・煎じ薬のうち、どの形に変えられるかは店によって違います。相談のときに直接聞きましょう。
  • 子どもや高齢の家族、妊娠中の方が飲む場合は、保護者や主治医と一緒に相談を進めるのが基本です。
  • 監修:前原 信太郎 先生(太陽堂・東京都新宿区)/竹部 晃之 先生(いわい薬局・埼玉県さいたま市)

「漢方薬をもらったけれど、苦くて飲むのがつらい。このまま続けられるかな」

「子どもが粉の漢方薬を嫌がる。無理に飲ませるのも気が引ける」

漢方薬を始めた方から、こうした声をよく聞きます。

結論から言うと、飲みにくいまま我慢したり、黙ってやめたりする前に、薬局に相談してください。

漢方薬には、錠剤・カプセル・エキス顆粒・煎じ薬など、いくつかの形があります。飲みにくさは、形で変わることがあります。

この記事では、形を変えられる店の見分け方と、相談で伝えたい3つのことを整理します。

病院・調剤薬局ではどうなっているか|薬の形は選べる・変えられる

病院の薬にも、錠剤・散剤(粉薬)・シロップ・カプセルなど、いくつかの形があります。

口の中で溶けるOD錠や、水に溶かして飲むドライシロップは、飲み込みが苦手な人や子どものために作られた形です。

調剤薬局では、薬剤師が医師に確かめたうえで、飲みやすい形に変えることがあります。剤形変更(ざいけいへんこう)と呼ばれる考え方です。

薬を受け取るときに「粉が苦手です」と伝えるだけで、別の形を提案してもらえることは珍しくありません。

医療用の漢方薬(保険の漢方)の形

病院で出る漢方薬は、医療用漢方製剤と呼ばれるエキス顆粒が中心です。

一部のメーカーには錠剤やカプセルの形もあり、医師や薬剤師に相談して変えられることがあります。

同じ処方名でも、メーカーが違うと味や1回に飲む量が変わります。「飲めなかった」と伝えることが、形を見直す出発点になります。

漢方薬局でも「飲めるかどうか」は大事な項目

漢方薬局でも、飲めているかどうかは、相談のたびに確かめる項目の一つです。

形を変える、1回の量を分ける、別の処方を考える、など選べる道は一つではありません。

ただし、店ごとに扱っている形が違うため、できることの幅も店で変わります。この点は後の章でくわしく見ます。

【前原 信太郎 先生からのアドバイス】

相談で「飲みにくい」と言われるのは、私にとっては大事な手がかりです。

どんな味が苦手か、いつ飲みにくいかを聞くと、体の状態が見えてくることがあります。

子どもの相談では、お子さんの様子を保護者の方から聞かせてもらいます。嫌がる理由が分かると、形の選び方が変わります。

我慢して続けるより、早めに言ってもらったほうが、一緒に続け方を考えられます。

東洋医学ではどう見るか|「味も情報」という考え方

東洋医学では、薬の味そのものにも意味があると考えてきました。

五味(ごみ=酸・苦・甘・辛・鹹(かん=塩からい)の5つの味)という言葉があり、味ごとに体への働きがあるとされています。

そのため相談では、「苦く感じるか、意外と飲めるか」といった感じ方そのものを聞くことがあります。

体に合う薬は飲みやすく感じる、と言われることもありますが、感じ方には個人差があります。

飲みにくさだけで「合っていない」と決めるのではなく、体調の変化とあわせて先生と確かめていくのが基本です。

また、匂いや粉の感触が苦手なのは、味とは別の話です。何が苦手なのかを分けて伝えると、先生が判断しやすくなります。

漢方薬の形と飲みやすさ・相談で聞くことの比較表

形 飲みやすさの特徴 相談で聞くこと
錠剤 味や匂いを感じにくい。1回に飲む粒の数が多くなることがある この処方に錠剤の形があるか。粒の数と大きさ
カプセル 味を感じにくい。飲み込む力が要り、小さな子どもには向かないとされる カプセルで扱えるか。高齢の家族でも飲み込めるか
エキス顆粒(粉薬) 種類が多く手に入りやすい。味と匂いを直接感じる 溶かして飲んでよいか。別のメーカーに変えられるか
煎じ薬 匂いと味が強く出る。生薬の組み合わせを一人ずつ変えやすいとされる 煎じ薬を扱っているか。忙しい日はエキス剤に切り替えられるか

まとめると、味や匂いを避けたいなら錠剤やカプセル、細かく合わせたいなら煎じ薬という方向性があります。

ただし、どの形を扱っているかは店によって違うため、相談で聞くことが欠かせません。

【竹部 晃之 先生からのアドバイス】

「飲めなかった」と正直に言ってもらえると、相談はむしろ前に進みます。

飲みにくい薬を我慢して続けることが、ストレスになってしまう方もいます。

メンタルの相談では、毎日の負担を減らすことも大切にしています。形を変える、回数を見直すなど、一緒に方法を探します。

飲めるかどうかを含めて、その人の生活に合う続け方を考えるのが、私たちの仕事だと思っています。

やめる前に薬局へ伝えたい3つのこと

相談のときに次の3つを伝えると、先生が形や続け方を考えやすくなります。

1. 何が苦手か(苦味・匂い・粉・量・回数)

「飲みにくい」の中身は、人によってまったく違います。

苦味が苦手なのか、匂いがだめなのか、粉が口に残るのがつらいのか。どれが一番の壁かを分けて伝えてください。

1回に飲む量が多すぎる、1日3回が守れない、という「量と回数」の悩みも、形の相談に含まれます。

「朝は飲めるが夜は無理」のように時間帯で分けて伝えられると、さらに具体的な提案につながります。

2. 誰が飲むか(子ども・高齢の家族・妊娠中など)

飲む人が本人ではない場合は、その人の年齢と状態を先に伝えます。

子どもの場合は、保護者が一緒に相談し、嫌がる様子や年齢・体重を伝えるのが基本です。本人だけで決めないようにしてください。

高齢の家族なら、飲み込む力や、ほかに飲んでいる薬の数を伝えます。カプセルや大きな錠剤が向かないことがあります。

妊娠中・授乳中の方は、主治医に伝えている内容も薬局に話してください。形を変えるときにも、確かめる点が増えます。

3. 続けたい気持ちと生活のリズム

「本当は続けたい」という気持ちは、遠慮せずに伝えてください。相談の方向が決まります。

そのうえで、仕事の時間帯・食事の回数・出張や外食の頻度など、生活のリズムを話します。

煎じ薬を作る時間が取れない日が多いなら、エキス剤との組み合わせを考える店もあります。

逆に「手間は気にならない。細かく合わせてほしい」という方には、別の提案があるかもしれません。

形を変えられる店とは|店によってできることが違う

漢方薬局は、扱っている漢方薬の形が店によって違います。

煎じ薬を中心にする店、エキス顆粒が中心の店、錠剤やカプセルもそろえている店、とさまざまです。

そのため、「形を変えられるか」は、店に直接聞かないと分かりません。

聞くときは「この処方で、錠剤やカプセルの形はありますか」「粉と煎じ薬を切り替えられますか」のように、具体的に尋ねます。

1回分ずつ分ける分包(ぶんぽう)や、1日2回に組み直すなどの工夫をしてくれる店もあります。

扱っていない店は、別の店を紹介したり、同じ形の中で別の処方を考えたりします。「できない」と言われても、相談が終わるわけではありません。

なお、形が変わると値段が変わることがあります。1日分の値段もあわせて聞いておくと、続けやすさを比べられます。

自宅でできる準備|相談の前に見ておきたいこと

相談の前に、次の5つを見ておくと話が早く進みます。

  • 残っている量を数える:何日分飲めて、何日分残っているか
  • 飲めなかった日と理由をメモする:苦い・匂い・忘れた、のどれか
  • 飲んでいる時間帯を書く:朝・昼・夜のどこで止まりやすいか
  • 子どもや家族が飲む場合は様子を記録する:嫌がるときの言葉や、飲めた日の状況
  • 袋や説明書を持っていく:処方名とメーカーが分かると、形の相談が早い

飲み方の細かい工夫は、相談のときに薬局で教えてもらえます。自分で混ぜたり分けたりする前に、一度聞いてみてください。

薬局に相談したほうがよいか分かるセルフチェック

次の5つのうち、当てはまるものがあるか確かめてください。

  • 苦味や匂いが気になって、飲むのが憂うつになっている
  • 1回分を飲み残す、または飲み忘れる日が週に2日以上ある
  • 子どもや高齢の家族が、飲むのを嫌がる・むせる
  • 1回に飲む量や1日の回数が、生活のリズムに合っていない
  • 「やめようかな」と思いながら、薬局には言えていない

1つでも当てはまれば、次に薬局へ行くときに「飲みにくい」と伝えてみてください。

なお、飲んだあとに吐き気や強い腹痛、発疹が出る場合は、飲みにくさとは別の話です。早めに薬局と、必要なら医療機関に連絡してください。

この記事の監修

記事監修者 漢方薬局 太陽堂 漢方薬剤師 前原 信太郎

実績:伝統漢方研究会 2017年・2021年 学術発表

祖父が沖縄で開業医をしていた影響もあって、薬に触れる仕事がしたいと「薬学」の道へ。

6 年間調剤薬局に勤めていましたがライフスタイルや食生活が変化する現代において、調剤(病院のお薬)だけで病気を治していく事に限界を感じ、2017年漢方薬局 太陽堂に入局。

その中で一人一人の体質に合わせて病気を改善していく漢方に出会い、その道に進み、今に至る。

記事監修者 (有)いわい薬局 代表薬剤師 竹部 晃之(たけべ てるゆき)

実績:国際中医専門員 / 全国実力薬局100選 7年連続選出

2005年に薬剤師となり、東京の漢方薬局で約10年間の臨床経験を積む中で、心と体の繋がりの深さを痛感。

・「もしも、不調に悩むお客様が自分の家族だったら。」
・「ただ薬を渡すだけでなく、心の奥にある不安まで受け止めたい。」

という信念のもと、創業45年を超える『いわい薬局』を継承。
現在は「メンタル・皮膚トラブル・子宝」などの相談を中心に、初回は1時間以上かけてじっくり話を聴く「カウンセリング重視」の漢方相談を行っています。

この記事を監修した先生が相談を受けているお店です。相談先を探すときの参考にしてください。

よくある質問

漢方薬が苦くて飲めません。薬局に相談してもいいですか?

はい。飲みにくさは相談の大事な項目です。黙ってやめる前に伝えてください。

形を変える、量や回数を見直すなど、店にできる提案があります。

漢方薬は錠剤やカプセルに変えられますか?

処方と店によります。同じ処方でも、錠剤の形があるものと無いものがあります。

「この処方で錠剤はありますか」と具体的に聞いてみてください。

子どもが漢方薬を嫌がります。やめたほうがいいですか?

自己判断でやめる前に、保護者の方が薬局に相談してください。子どもに向く形や量があるかは店で違います。

嫌がる理由(味・匂い・量)を伝えると、提案がしやすくなります。

飲みにくい漢方薬は、体に合っていないということですか?

飲みにくさだけでは決まりません。感じ方には個人差があり、形や味が原因のことも多いです。

体調の変化とあわせて、先生と一緒に確かめてください。

形を変えると漢方薬の値段は変わりますか?

変わることがあります。錠剤・エキス顆粒・煎じ薬で、1日分の値段が違う店が多いとされています。

形の相談のときに、1日分の値段もあわせて聞いておくと比べやすいです。

まとめ

  • 漢方薬が飲みにくいときは、やめる前に薬局へ相談してください。形を変えられることがあります。
  • 伝えたいことは3つ。何が苦手か、誰が飲むか、続けたい気持ちと生活のリズムです。
  • 錠剤・カプセル・エキス顆粒・煎じ薬のどれを扱うかは店で違うため、「変えられますか」と直接聞きます。
  • 子ども・高齢の家族・妊娠中の方が飲む場合は、保護者や主治医と一緒に相談を進めましょう。

相談先を探すときは

漢方百名店では、飲みにくさの相談にも乗ってくれる、全国の漢方薬局を紹介しています。

「まずい」という誤解、粉薬と煎じ薬の違い、家族の理解、子どもの漢方についての記事もあわせて参考にしてください。

飲みにくさで迷っている方は、残っている薬の袋を持って、まず近くの漢方薬局に相談してみてください。