【この記事の要点】
- めまいは、立ちくらみ・回転性・浮動性の3つに分けて考えるのが出発点です。
- 「ぐるぐる回る」「ふわふわする」という言葉の違いが、見立ての手がかりになります。
- 原因を「水のめぐり」や「耳」だけだと思われがちですが、自律神経が関わる方も少なくありません。
- 急に強いめまいが出た場合や、話しにくさを伴う場合は、医療機関にご相談ください。
- 監修:石田 友里先生(漢方薬局 くら石・静岡県掛川市)/武田 隆芳先生(漢方薬局 嶺耀堂・東京都新宿区)
「めまいは水のめぐりのせい」と思っていませんか
めまいで漢方相談に来られる方には、ひとつの共通点があります。
来る前に調べていて、「たぶん水のめぐりが悪いんです」とおっしゃることが多いのです。
あるいは「耳のせいだと言われました」というお話も、よく聞かれます。
どちらも間違いではありません。ただ、その2つだけとは限らないというのが実際のところです。
この記事では、めまいを3つのタイプに分けたうえで、見落とされやすい視点をご紹介します。
まず「どんなめまいか」を3つに分けます
相談の場で最初に伺うのは、原因ではなく「どんなめまいですか」という質問です。
同じ「めまい」という言葉でも、感じ方はまったく違うためです。
立ちくらみ型
座っていて立ち上がった瞬間や、お風呂上がりに、すっと目の前が暗くなるタイプです。
「頭に血が上ってこない感じ」と表現される方もいらっしゃいます。
回転性(ぐるぐる回る)
天井や景色が回って見えるタイプで、「ぐるぐる回る」という言い方をされます。
吐き気を伴うことも多く、しばらく動けなくなる方もいます。
浮動性(ふわふわする)
地に足がついていない感じが続くタイプです。「ふわふわする」が代表的な言葉です。
「雲の上を歩いているみたい」という言い方をされる方もいらっしゃいます。
はっきりした発作がないぶん、周りに伝わりにくいのがつらいところです。
3つのタイプを、表で比べます
| タイプ | よく使われる言葉 | 東洋医学で目を向けるところ |
|---|---|---|
| 立ちくらみ | 目の前が暗くなる | 血の不足や、めぐりの勢い |
| 回転性 | ぐるぐる回る | 体内の水のかたより |
| 浮動性 | ふわふわする | 気の不足や、自律神経の乱れ |
表を一言でまとめると、「ぐるぐる」は水、「ふわふわ」は気と自律神経を先に考えるということです。
※気血水(きけつすい)とは、東洋医学で体をつくると考える3つの要素のことです。
もちろん、きれいに1つに分かれない方も多くいます。重なっている場合もあります。
相談の場では、こんなことを伺います
タイプが分かったあとは、次の3点を確認していきます。
- いつからか:数日前なのか、何年も付き合っているのか
- きっかけに心当たりがあるか:出来事、季節、生活の変化
- どんなときに出やすいか:時間帯、姿勢、天気
「分からない」で構いません。分からないこと自体が情報になります。
なお、急に強いめまいが出た場合や、話しにくさ・手足の力の入りにくさを伴う場合があります。
そうしたときは、まず医療機関にご相談ください。漢方の相談はそのあとでも遅くありません。
よくある誤解:「水」と「耳」だけではありません
ここが、この記事でいちばんお伝えしたい点です。
めまいの原因として、水のめぐりと耳の2つだけを思い浮かべる方がとても多いのです。
けれども相談の現場では、自律神経が関わっている方も少なくありません。
とくに「ふわふわする」タイプでは、この視点が抜けていると話が進まないことがあります。
自律神経が関わるとき、めまい以外にも出ていることがあります
相談で伺っていくと、めまい以外の変化も一緒に出ている方がいらっしゃいます。
眠りが浅い、肩や首の力が抜けない、朝と夕方で差が大きい、といった点です。
こうした変化は、めまいだけを見ていると気づけません。
「めまいの話をしに来たのに」と思われるかもしれませんが、大切な手がかりになります。
「耳のせい」と言われた方へ
耳鼻科で説明を受けた方も、そこで終わりにする必要はありません。
受けた説明は正しいものとして受け止めたうえで、体質の側から重ねて見ていくという形になります。
なぜ「水」だと思われやすいのか
東洋医学でめまいを説明するとき、水のかたよりの話がよく紹介されるためだと考えられます。
分かりやすい説明なので広まりやすく、そのぶん入口がひとつに固定されてしまいます。
水に着目した見方も、体内の水の巡りを整える考え方として実際に用いられています。
大切なのは、それを最初から答えだと決めてしまわないことです。
天気や気圧で出やすい、という方へ
「気圧が変わると出やすい」とおっしゃる方も多くいらっしゃいます。
この場合は、めまい単独ではなく気象の影響という角度から見ていくことがあります。
天気と体調の関係については、こちらの記事でくわしく取り上げています。

相談の前に、セルフチェック
答えられる項目が多いほど、相談は短時間で深いところまで進みます。
- 自分のめまいが3つのどのタイプか、言葉にできる
- いつごろから続いているか、だいたい答えられる
- 出やすい時間帯や姿勢に、心当たりがある
- 天気との関係を意識したことがある
- 眠りの質や、緊張の続き方についても振り返った
- 病院で検査を受けたかどうか、結果を伝えられる
- 飲んでいる薬を書き出してある
5つ目の「眠りと緊張」は、自律神経の視点につながる大事な項目です。
この記事の監修
めまいの相談を多く受ける先生と、精神面の相談を多く受ける先生に監修いただきました。
記事監修者 漢方薬局 くら石 薬局長 石田 友里(いしだ ゆり)

実績:国際中医専門員A級 / 調布漢方特区プロジェクト 薬膳講師 / 伝統漢方研究会 学術論文発表(2021年・2024年)
合気道歴25年で培った「心を整える(マインドフルネス)」視点を活かし、不妊症や更年期障害、不安神経症など、心身のバランスに関わる繊細な悩みを得意とする。
・「体だけでなく、その人の人生そのものを応援したい。」
・「カウンセリングのように、話すだけで元気になってほしい。」
という想いで、生活背景までじっくり聞き取る相談スタイルを確立。
時には人生相談のようになる深い対話を通じて、患者さんが笑顔で自分らしい人生を歩めるよう温かくサポートしています。
記事監修者 漢方薬局 嶺耀堂 薬局長 武田 隆芳(たけだ たかよし)

実績:病院勤務4年・調剤薬局勤務8年の臨床経験 合計12年間
西洋医学の最前線で多くの患者さんと向き合う中で、薬で症状を抑えるだけではない「根本的な治癒」への渇望が芽生える。
・「身近な人の悩みにもっと深く関わり、本当に治る手助けがしたい。」
・「薬だけでなく、身体の内側から体質を変えていく感動を伝えたい。」
という強い想いから漢方の道へ。 現在は呼吸器や皮膚トラブル、精神疾患などを得意とし、漢方薬の処方はもちろん、食事や生活習慣のアドバイスまで含めた「二人三脚のサポート」を行っています。
よくある質問
めまいは、水のめぐりが原因なのですか?
そうとは限りません。体内の水のかたよりに着目する見方はよく知られていますが、相談の現場では自律神経が関わっている方も少なくありません。とくに「ふわふわする」タイプでは、水以外の視点も必要になります。
耳鼻科で異常なしと言われました。相談してもよいですか?
問題ありません。検査で異常が見つからなかったという情報自体が、相談の材料になります。結果の紙をお持ちいただくと、話が早く進みます。
「ふわふわする」と「ぐるぐる回る」は、何が違うのですか?
景色が回って見えるかどうかが目安になります。回って見えるのが回転性、地に足がつかない感じが続くのが浮動性です。東洋医学では、この違いから見ていく方向を変えていきます。
めまいのときに、どんな漢方薬が用いられますか?
タイプによって考え方が変わります。水の巡りに着目して苓桂朮甘湯などが用いられることもあれば、気の不足や緊張に目を向けることもあります。体質に合うかどうかは個別に見る必要がありますので、相談先にご確認ください。
すぐ病院に行ったほうがよいのは、どんなときですか?
急に強いめまいが起きたとき、話しにくさや手足の力の入りにくさを伴うとき、激しい頭痛があるときなどは、医療機関にご相談ください。判断に迷う場合も、先に受診しておくと安心です。
まとめ:入口を1つに決めないこと
めまいは、立ちくらみ・回転性・浮動性の3つに分けるところから始まります。
「ぐるぐる」なのか「ふわふわ」なのか。その一言だけで、見ていく方向が変わります。
そして原因を水と耳の2つだけに絞らないことが、遠回りを避ける近道になります。
自分のめまいを言葉にして持っていくだけで、相談の質は大きく変わります。
相談先を探すときは
漢方百名店では、全国の漢方相談店を、得意分野や相談の進め方とあわせてご紹介しています。
めまいの相談は、体質の全体を見る視点があるお店を選ぶと進めやすくなります。




