【この記事の要点】
- 漢方薬局で高い薬をすすめられて不安なときは、その場で決めなくてよいです。断っても嫌な顔をしない店が、信頼できる店です。
- 確かめ方は3つ。「1日分の値段と日数」「いつ見直すか」「減らせる選択肢はあるか」を聞くことです。
- 断り方の例文は3つ。「持ち帰って考えます」「予算は月2万円までです」「まず2週間分だけお願いします」です。
- 病院の薬は国が決めた薬価、漢方薬局の漢方薬は店が決める自由価格です。相談料は無料の店が多く、週5,000円前後からが目安です。
- 監修:石田 友里 先生(漢方薬局 くら石・静岡県掛川市)/竹部 晃之 先生(いわい薬局・埼玉県さいたま市)
「漢方薬局に行ってみたいけれど、高い薬を押し売りされたらどうしよう」
「1か月分をすすめられて、断れずに買ってしまった。続けられる金額ではなかった」
漢方薬局は値札が見えにくいぶん、お金の不安が先に立ちやすい場所です。
結論から言うと、その場で決めなくてよく、断っても嫌な顔をしない店が信頼できる店です。
この記事では、不安なときの確かめ方3つと、そのまま使える断り方の例文3つを整理します。
病院・調剤薬局ではどうなっているか|薬の値段の決まり方(保険・薬価)
病院で処方される薬の値段は、国が決めた「薬価(やっか)」という公定価格で決まっています。
どの調剤薬局で受け取っても薬そのものの値段は同じで、患者さんは原則その1〜3割を支払います。
薬を選ぶのは医師で、薬局は処方箋のとおりに調剤します。薬局の窓口で「もっと高い薬を」と提案される場面は、しくみ上ありません。
医療用漢方製剤にも薬価がある
病院の漢方薬(医療用漢方製剤)も、1処方ごとに薬価が決まっています。葛根湯や補中益気湯などが保険で出るのはこのためです。
保険の漢方は、あらかじめ決まった組み合わせの粉薬(エキス剤)が中心で、生薬を足したり引いたりはしません。
漢方薬局の漢方薬は「自由価格」
漢方薬局で相談して受け取る漢方薬は保険の対象外で、値段は店ごとに決めています。これが「自由価格」です。
生薬の種類と量、煎じ薬かエキス剤か、日数によって金額が変わります。同じ悩みでも、人によって値段が違うのはこのためです。
目安は週5,000円前後から(月2万円前後から)で、相談料は無料の店が多いとされています。
「自由価格」は押し売りの温床ではなく、体に合わせて組めるぶん値段も動く、という意味です。だからこそ確かめ方を知っておくと落ち着いて選べます。
【石田 友里 先生からのアドバイス】
相談の場で予算の話をするのは、失礼なことではありません。むしろ先に教えていただけると助かります。
漢方は続けられる形で組むことが、いちばん大切だと私は考えています。
「月にこのくらいまで」と言ってもらえれば、その中で何を優先するかを一緒に考えられます。
高いものを無理にすすめる必要は、どこにもありません。
東洋医学ではどう見るか|「高い薬」が良い薬とは限らない理由
東洋医学では、その人の体の状態を「証(しょう=体質と今の不調を合わせた見立て)」と呼び、証に合わせて漢方薬を選びます。
大切なのは証に合っているかどうかで、値段の高さと合う・合わないは別のものです。
値段が上がる主な理由は、生薬の数が多い、1日の量が多い、手間のかかる煎じ薬である、の3つです。
証が合えば、少ない生薬のエキス剤で様子を見る選び方もあります。高いほうが良いと決まっているわけではありません。
相談で「値段の根拠」として聞いてよいこと
- どの体の状態を見て選んだか:証の説明を、分かる言葉でしてもらう
- なぜその形(煎じ薬・エキス剤)か:形を変えると値段がどう動くか
- 何を優先した組み合わせか:いちばん困っている不調から手を付けているか
この3つに答えてくれる先生なら、値段は「売りたい額」ではなく「見立ての結果」だと考えられます。
病院の薬・ドラッグストアの漢方・漢方薬局の漢方の比較表
| 入手先 | 値段の決まり方 | 誰が選ぶか・相談 |
|---|---|---|
| 病院+調剤薬局 | 国が決めた薬価。自己負担は1〜3割 | 医師が処方。薬局は処方箋どおりに調剤 |
| ドラッグストアの市販漢方 | メーカー希望価格をもとに店が値付け | 自分で選ぶ。薬剤師・登録販売者に質問はできる |
| 漢方薬局の相談漢方 | 自由価格。生薬の種類・量・形・日数で変わる | 先生が証を見て提案。相談料は無料の店が多い |
まとめると、値段を「提案される」のは漢方薬局だけです。だからこそ、提案を受けたあとに確かめる手順が要ります。
提案は「見立て」であって「契約」ではありません。受け取るかどうかは、あなたが決めてよいものです。
【竹部 晃之 先生からのアドバイス】
「今日は持ち帰って考えます」と言われることは、相談の現場では珍しくありません。
私は、断られて困る提案なら、最初からすべきではないと思っています。
納得して始めた方のほうが、飲み忘れも少なく、体の変化も丁寧に教えてくれます。
迷いがあるうちは買わなくてよい。それを言える店を選んでください。
押し売りが不安なときの確かめ方3つと断り方の例文3つ
ここからは、提案を受けた場面でそのまま使える言葉を並べます。順番どおりでなくてかまいません。
確かめ方1:「1日分でいくら、何日分で合計いくらですか」
合計の金額だけを聞くと、高いか安いかが判断できません。1日分の値段と日数に分けて聞くと、月の負担が見えます。
「1日700円で14日分、合計9,800円」のように紙やメモに書いてもらえると、家で見返せます。
金額を明るく答えてくれるかどうかも、店を見る材料になります。
確かめ方2:「いつ見直しますか。合わなかったらどうなりますか」
漢方相談は、2〜4週間ほどで様子を聞き、組み合わせを見直すのが一般的な進め方とされています。
見直しの区切りが先に分かっていれば、長期の大きな買い物を迫られる心配は減ります。
「合わなかったときは別の組み合わせを考えます」と答えが返ってくれば、見立てを進める姿勢がある店です。
確かめ方3:「もっと軽く始める選択肢はありますか」
煎じ薬をエキス剤にする、日数を短くする、まず1種類から始める。値段を下げる選択肢は、たいてい用意できます。
「この金額でないと意味がない」とだけ返ってきたら、別の店の意見も聞いてよい場面です。
軽い形から始めて、体の様子を見ながら足していく。この順番は、東洋医学の考え方とも矛盾しません。
断り方の例文1:「今日は決めずに、持ち帰って考えます」
いちばん使いやすい言い方です。理由を細かく説明する必要はありません。
「見積もりをメモしてもらえますか」と添えると、家族と相談する材料になります。
断り方の例文2:「予算は月2万円までです。その中で組めますか」
断るというより、条件を伝える言い方です。上限を先に言うと、先生もその中で優先順位を考えられます。
金額は、あなたが無理なく続けられる額でかまいません。遠慮して高く言う必要はありません。
断り方の例文3:「まず2週間分だけお願いできますか」
「始めてみたいけれど、まとめ買いは不安」というときの言い方です。
短い日数で始めて、飲み心地や体の変化を確かめてから続けるかを決められます。
3つの例文に共通するのは、良い店は、どの言い方をしても嫌な顔をしないという点です。もし空気が重くなったら、その店でなくてよいのです。
自宅でできる準備|行く前に決めておく3つのこと
不安は、準備が無いときに大きくなります。行く前に次の3つを決めておくと、その場で流されにくくなります。
- 月の上限額:家計の中で、半年続けても苦しくない金額を先に決める
- その日に買うかどうか:「初回は話だけ聞いて帰る」と決めて行くのも一つの方法
- 聞くことのメモ:1日分の値段・見直しの時期・軽い選択肢、の3つを書いておく
店を選ぶ段階では、料金の目安をホームページに書いている店、相談だけでも歓迎と明記している店を候補にすると安心です。
口コミに「押し売りがなかった」「予算に合わせてくれた」という声があるかも、ひとつの材料になります。
その提案は押し売り?落ち着いて見分けるセルフチェック
提案を受けたあと、次の5つに当てはまるものがないか確かめてください。
- 1日分の値段と日数を聞いても、はっきり答えてもらえなかった
- 「今日決めないと」「今だけ」のように、急がせる言葉があった
- 3か月分以上のまとめ買いを、初回からすすめられた
- 軽い選択肢を聞いたら、「意味がない」とだけ言われた
- 持ち帰りたいと伝えたら、空気が重くなった
2つ以上当てはまったら、その店で決めず、別の店の見立ても聞いてみてください。
1つも当てはまらなければ、値段の高さそのものより、見立てに納得できるかで決めてよい段階です。
この記事の監修
記事監修者 漢方薬局 くら石 薬局長 石田 友里(いしだ ゆり)

実績:国際中医専門員A級 / 調布漢方特区プロジェクト 薬膳講師 / 伝統漢方研究会 学術論文発表(2021年・2024年)
合気道歴25年で培った「心を整える(マインドフルネス)」視点を活かし、不妊症や更年期障害、不安神経症など、心身のバランスに関わる繊細な悩みを得意とする。
・「体だけでなく、その人の人生そのものを応援したい。」
・「カウンセリングのように、話すだけで元気になってほしい。」
という想いで、生活背景までじっくり聞き取る相談スタイルを確立。
時には人生相談のようになる深い対話を通じて、患者さんが笑顔で自分らしい人生を歩めるよう温かくサポートしています。
記事監修者 (有)いわい薬局 代表薬剤師 竹部 晃之(たけべ てるゆき)

実績:国際中医専門員 / 全国実力薬局100選 7年連続選出
2005年に薬剤師となり、東京の漢方薬局で約10年間の臨床経験を積む中で、心と体の繋がりの深さを痛感。
・「もしも、不調に悩むお客様が自分の家族だったら。」
・「ただ薬を渡すだけでなく、心の奥にある不安まで受け止めたい。」
という信念のもと、創業45年を超える『いわい薬局』を継承。
現在は「メンタル・皮膚トラブル・子宝」などの相談を中心に、初回は1時間以上かけてじっくり話を聴く「カウンセリング重視」の漢方相談を行っています。
この記事を監修した先生が相談を受けているお店です。相談先を探すときの参考にしてください。


よくある質問
漢方薬局で押し売りされることはありますか?
多くの店では、相談のあとに提案を受け、買うかどうかはあなたが決めます。急がせる店は少数です。
不安なときは「持ち帰って考えます」と伝えて、反応を見てください。
漢方薬局で相談だけして買わないのは失礼ですか?
失礼ではありません。相談料が無料の店が多く、「話だけ聞いて帰る」方も実際にいます。
気になる方は、予約のときに「初回は相談だけでもよいですか」と聞いておくと気楽です。
漢方薬局の漢方薬が高いのはなぜですか?
保険がきかない自由価格で、生薬の種類と量、煎じ薬かエキス剤かで値段が決まるためです。
目安は週5,000円前後から(月2万円前後から)とされ、軽い形から始める選択肢もあります。
漢方薬局で断るときは、何と言えばいいですか?
「今日は持ち帰って考えます」「予算は月2万円までです」「まず2週間分だけお願いします」の3つが使いやすいです。
理由を細かく説明する必要はありません。
一度買った漢方薬が高くて続けられません。どうすればいいですか?
黙ってやめる前に、その店に「この金額では続けられない」と伝えてください。形や日数を変える提案が出ることがあります。
話が通じないと感じたら、別の店に見立てを聞く方法もあります。
まとめ
- 病院の薬は国が決めた薬価、漢方薬局の漢方薬は店が決める自由価格です。値段を「提案される」のは漢方薬局だけです。
- 確かめ方は「1日分の値段と日数」「見直しの時期」「軽い選択肢」の3つを聞くことです。
- 断り方は「持ち帰って考えます」「予算は月2万円まで」「まず2週間分だけ」の3つで足ります。
- どの言い方をしても嫌な顔をしない店が、信頼できる店です。迷いがあるうちは買わなくてよいのです。
相談先を探すときは
漢方百名店では、料金の目安や相談の進め方を公開している全国の漢方薬局を紹介しています。
費用の相場、口コミの読み方、別の店に意見を聞く方法、得意分野で選ぶ基準もあわせて参考にしてください。




月の上限額と聞くことのメモを用意して、まず近くの漢方薬局に相談してみてください。
