【この記事の要点】
- 漢方薬の原料になる生薬(しょうやく)は、多くを中国などからの輸入に頼っているとされています。
- 医薬品の漢方薬は、産地にかかわらず国の品質の基準に沿って作られています。
- 産地よりも大切なのは「医薬品かどうか」「何が入っているか」「体に合っているか」です。
- 漢方薬局では「医薬品か・メーカー・中身・体調の見方」の4つを確かめてかまいません。
- 監修:林 泰太郎 先生(太陽堂・東京都新宿区)/武田 隆芳 先生(嶺耀堂・東京都新宿区)
「漢方薬って、中国産の原料が多いって本当?」
ニュースや口コミで、そんな話を目にして不安になった方もいるかもしれません。
体にやさしいイメージで選んだのに、原料がどこから来ているのか分からない。
そう感じると、飲み始める前に立ち止まってしまいますよね。
結論から言うと、医薬品の漢方薬は、産地にかかわらず国の品質の基準に沿って作られています。
とはいえ、不安をそのままにする必要はありません。
この記事では、生薬の産地と品質のしくみ、そして漢方薬局で確かめたい4つのことをまとめました。
病院ではどう見るか|医薬品としての品質の決まりと検査
まず、西洋医学の立場から見た「漢方薬の品質」のしくみを整理します。
医薬品の生薬には国の基準がある
生薬とは、植物の根や皮、鉱物などを乾かしたり刻んだりした、漢方薬の原料のことです。
医薬品に使う生薬は、日本薬局方(にほんやっきょくほう=国が定めた医薬品の品質の基準書)などの基準を満たす必要があります。
基準では、見た目やにおい、成分の量、混ざりものの有無などが決められています。
生薬によっては、重金属や残留農薬の検査の基準も設けられています。
さらに工場で作る漢方薬は、GMP(医薬品の製造と品質の管理の決まり)に沿って作られています。
つまり「どこで採れたか」だけでなく「基準を満たしているか」が大切なのです。
病院で見るのは「体の反応」
病院で漢方薬を処方されている場合、医師が気にかけるのは主に体の反応です。
たとえば甘草(かんぞう)という生薬は、多くの漢方薬に含まれています。
甘草をとりすぎると、むくみや血圧の上昇、体のカリウムが減る状態が起こることがあるとされています。
この状態は偽アルドステロン症(ぎアルドステロンしょう)と呼ばれます。
そのため病院では、血圧の測定や血液検査(カリウム・肝機能の数値など)で様子を見ることがあります。
病院の漢方薬と市販の漢方薬
病院で出る漢方薬は、医療用漢方エキス製剤と呼ばれ、粉や顆粒の形が中心です。
ドラッグストアの漢方薬も、パッケージに「第2類医薬品」などの区分が書かれた医薬品です。
一方で「漢方」の名前がついていても、健康食品として売られている商品もあります。
パッケージの「医薬品」の表示は、品質の基準を知るいちばんの手がかりになります。
【林 泰太郎 先生からのアドバイス】
「中国産は心配」というお声は、相談の場でもよくうかがいます。
大切なのは、産地の名前だけで良し悪しを決めないことです。
医薬品として基準を満たしたものかどうかを、まず確かめてみてください。
気になることは、遠慮なく相談先に聞いていただいて大丈夫ですよ。
東洋医学ではどう見るか|産地より「体に合うか」
東洋医学でも、生薬の質は昔から大切にされてきました。
たとえば道地薬材(どうちやくざい)という言葉があります。
これは、昔から質が良いとされてきた産地で採れた生薬のことです。
また、生薬は修治(しゅうじ=蒸す・炒るなどの下ごしらえ)によって性質が変わると考えられています。
ただし東洋医学でいちばん重視されるのは、生薬の組み合わせがその人の体質に合っているかです。
同じ品質の生薬でも、体質に合わなければ、胃がもたれるなど体に負担がかかることがあります。
反対に、体質に合っていれば、変化を感じる方もいます。
つまり品質は「前提」であって、それだけで漢方薬の良し悪しが決まるわけではありません。
比較表|漢方薬局で確かめたい4つのこと
| 確かめること | なぜ大切か | 聞き方の例 |
|---|---|---|
| ①医薬品かどうか | 品質の基準を満たしているかが分かる | 「これは医薬品ですか?」 |
| ②どのメーカー・どの生薬か | 品質の管理のしかたを知る手がかりになる | 「どこのメーカーの生薬ですか?」 |
| ③何が入っているか | 甘草など、重ねて飲みたくない生薬を避けられる | 「生薬の名前を教えてください」 |
| ④体調の変化をどう見るか | 合わないときに早めに気づける | 「どんな変化があったら連絡すればいいですか?」 |
表の4つは、どれも聞いてよい質問です。
特に③と④は、ほかのお薬と一緒に飲んでいる方ほど大切になります。
【武田 隆芳 先生からのアドバイス】
「こんなことを聞いたら失礼かな」と遠慮される方もいます。
でも、中身を知ったうえで飲むほうが、続けるときの安心につながります。
病院のお薬や市販薬を飲んでいる方は、お薬手帳を持ってきてください。
甘草が重なっていないかなども、一緒に確かめていきましょう。
自宅でできるセルフケア・食養生
品質の不安と上手につきあうために、家でできることもあります。
- 薬の袋や箱を捨てずにとっておく:中身の生薬や区分をあとから確かめられます。
- 市販薬を重ねて飲まない:かぜ薬などにも甘草が入っていることがあります。
- 体調のメモをつける:むくみ・だるさ・血圧の変化などを書いておくと相談に役立ちます。
- 塩分をとりすぎない:むくみが気になる方は、味の濃い食事を控えめにしましょう。
- 湿気の少ない場所で保管する:生薬は湿気や高い温度で傷みやすいとされています。
飲み方や保管のくわしいポイントは、飲み方のギモンをまとめた記事も参考にしてください。
相談前のセルフチェック|品質の不安を整理する
当てはまる項目が多いほど、相談のときに聞きたいことが整理できています。
- 今飲んでいる(飲もうとしている)ものが医薬品か健康食品か、分かっている
- お薬手帳や、飲んでいる市販薬・サプリの名前を用意した
- 産地やメーカーについて、聞きたいことをメモした
- 甘草が入っている薬を、ほかにも飲んでいないか気になっている
- むくみ・だるさ・血圧の変化など、最近の体調をメモした
- 急なむくみや強いだるさが出たときは、まず病院に相談すると決めている
最後の項目は大切です。急な体調の変化があるときは、まず医療機関へ相談しましょう。
この記事の監修
記事監修者 漢方薬局 太陽堂 薬局長 林 泰太郎

実績:伝統漢方研究会 2015~2017年・2019年・2020年・2022年 2025年学術発表
調剤薬局で3年間勤め、西洋の薬だけでは治療が難しい病気の壁に直面。
・「治療の難しい病気をなんとか治したい。」
・「ひとりでも多くの患者さんを笑顔にしたい。」
という想いから漢方の道へ。
漢方薬局で3年間修業をして、2015年 『漢方薬局 太陽堂』を立ち上げ。
開局10年を迎えた今も1ヶ月の平均来局数は900名を超え、お客様にご愛顧いただいている太陽堂の漢方薬剤師です。
記事監修者 漢方薬局 嶺耀堂 薬局長 武田 隆芳(たけだ たかよし)

実績:病院勤務4年・調剤薬局勤務8年の臨床経験 合計12年間
西洋医学の最前線で多くの患者さんと向き合う中で、薬で症状を抑えるだけではない「根本的な治癒」への渇望が芽生える。
・「身近な人の悩みにもっと深く関わり、本当に治る手助けがしたい。」
・「薬だけでなく、身体の内側から体質を変えていく感動を伝えたい。」
という強い想いから漢方の道へ。 現在は呼吸器や皮膚トラブル、精神疾患などを得意とし、漢方薬の処方はもちろん、食事や生活習慣のアドバイスまで含めた「二人三脚のサポート」を行っています。
この記事を監修した先生が相談を受けているお店です。相談先を探すときの参考にしてください。


よくある質問
漢方薬の原料は中国産が多いのですか?
多くを中国などからの輸入に頼っているとされています。国内で栽培する取り組みもありますが、量はまだ限られています。
中国産の生薬は品質が心配です。大丈夫ですか?
医薬品の漢方薬は、産地にかかわらず日本薬局方などの基準を満たす必要があります。気になる場合は、医薬品かどうかを相談先で確かめましょう。
国産の生薬だけを使った漢方薬はありますか?
国産の生薬を使う取り組みはありますが、すべての生薬を国産でそろえるのは難しいとされています。希望があれば相談先に伝えてみてください。
健康食品の「漢方」と医薬品の漢方薬は何が違いますか?
医薬品は国の基準に沿って品質が管理されていますが、健康食品は食品の扱いです。パッケージの表示で見分けられます。
漢方薬局で生薬の産地を聞いてもいいですか?
聞いてかまいません。分かる範囲で答えてくれるお店が多いので、遠慮せずに質問してみましょう。
まとめ
- 漢方薬の原料の生薬は、多くを中国などからの輸入に頼っているとされています。
- 医薬品の漢方薬は、産地にかかわらず国の品質の基準に沿って作られています。
- 産地よりも「医薬品か」「中身」「体に合うか」を見ることが大切です。
- 漢方薬局では、医薬品か・メーカー・中身・体調の見方の4つを遠慮なく聞いてみましょう。
相談先を探すときは
漢方百名店では、中身や品質のことまで丁寧に説明してくれる全国の漢方薬局を紹介しています。
健康食品との違いや、粉薬と煎じ薬の違いもあわせて参考にしてください。




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