「粉薬」と「煮出す薬(煎じ薬)」、効果は違う?メリット・デメリットと、あなたに合うタイプの選び方

「粉薬」と「煮出す薬(煎じ薬)」効果は違う?メリット・デメリットと選び方の解説記事タイトル画像。和紙の背景。インスタントとドリップの違いに例えて解説。
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はじめに:突然「煎じ薬で良いですか」と聞かれても困りますよね?

漢方薬局に初めて相談に行くと、必ずと言っていいほどこう聞かれます。

「お薬は、煎(せん)じ薬にしますか? それともエキス剤(粉薬)にしますか?」

いきなりそんなことを言われても、「えっ、何が違うの? どっちがいいの?」と戸惑ってしまいますよね。

実はこの2つ、「コーヒー」に例えると非常に分かりやすくなります。

  • エキス剤(粉薬): インスタントコーヒー
  • 煎じ薬(煮出す薬): ドリップコーヒー(豆から淹れる)

今回は、それぞれのメリット・デメリットを整理して、あなたのライフスタイルにはどちらが合っているのかを解説します。

漢方薬の種類をコーヒーに例えたイラスト。左側はインスタントコーヒーと銀色の分包(エキス剤・手軽さ)、右側はドリップコーヒーセットと土瓶(煎じ薬・本格派)の比較。

1. 【エキス剤(粉薬)】手軽さNo.1の現代っ子

病院で処方される銀色の袋や、ドラッグストアで売っている漢方のほとんどがこれです。

工場で一度漢方を煮出し、そのスープを乾燥させて粉末(顆粒)にしたものです。

メリット

  • とにかく手軽: お湯や水で飲むだけ。携帯も便利で、職場や旅行先でも飲めます。
  • 品質が安定: いつ飲んでも同じ成分、同じ味です。
  • 保存がきく: 長期間保存できるので、常備薬にも向いています。

デメリット

  • 香りの効果が減る: 乾燥させる工程で、漢方特有の「香り(アロマ効果)」がどうしても少し飛んでしまいます。(香りが飛ぶとその分効果も落ちます。)
  • 微調整が難しい: 既製品(パッケージ化されたもの)なので、その方に合わせた調整が難しい。

こんな人におすすめ

  • 仕事が忙しく、家で薬を煮る時間がない人
  • 昼間はオフィスや学校で飲む必要がある人
  • 漢方初心者で、まずは手軽に始めたい人

2. 【煎じ薬(煮出す薬)】効果と香りの本格派

刻んだ生薬(木の根や葉っぱそのもの)を、水と一緒に土瓶や鍋に入れ、40分〜50分ほどコトコト煮出して、そのスープを飲むタイプです。

これぞ、本来の「漢方」の姿です。

メリット

  • 効果が高い: 生薬の成分を余すことなく抽出できます。
  • 香りの効果(気薬): 部屋中に広がる独特の香りを嗅ぐだけで、「気」が巡り、リラックス効果や漢方薬自体の効果が高まります。
  • オーダーメイド: 薬剤師がサジ加減で配合を変えられるので、「今回は〇〇の生薬を別で出しておこう」といった、あなただけの完全オーダーメイドが可能です。

デメリット

  • 手間がかかる: 40分~50分以上煮出す必要があり、火加減の管理も必要です。
  • ニオイ: 部屋や服に漢方のニオイがつきます(これが効くのですが、家族が嫌がる場合も)。
  • 持ち運びにくい: 液体のスープなので、外出先に持っていくには水筒などが必要です。

こんな人におすすめ

  • 長年の慢性病を本気で治したい人
  • 家にいる時間が長く、煮出す時間を確保できる人
  • 「粉薬」を試したけれど、効果がいまいちだった人
生活シーンに合わせた漢方の選び方のイラスト。左側はオフィスのデスクで手軽に粉薬を飲む女性、右側は自宅でリラックスして煎じ薬の香りを楽しむ女性。

3. 【比較表】一目でわかる違い

項目エキス剤(粉薬)煎じ薬(煮出す薬)
イメージインスタントコーヒードリップコーヒー
手軽さ◎(飲むだけ)△(毎日30分煮る)
携帯性◎(ポーチに入る)△(水筒が必要)
微調整△(既製品)◎(完全オーダー)
香り◎(アロマ効果)
比較的飲みやすい濃厚で独特

結論:続けられる方を選ぶのが「正解」です

「やっぱり、手間がかかっても煎じ薬の方が治りは早いですか?」

漢方薬局ではよく聞かれる言葉ですが、

「続けられるなら煎じ薬が良いですが、面倒で飲まなくなるならエキス剤の方が100倍良いです」

漢方治療で一番大切なのは、「毎日コツコツ続けること」

どんなに素晴らしい名医の煎じ薬でも、作るのが面倒で週に3日しか飲まないのなら、毎日しっかり飲めるエキス剤の方が効果が出ます。

  • 平日は忙しいから「エキス剤」
  • 休日はゆっくり体を労るために「煎じ薬」

という使い分けができる薬局もあります。

自分のライフスタイルに正直になって、無理なく続けられる方を選んでくださいね。

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【Q&A】よくある質問

エキス剤はお湯に溶かして飲んだ方がいいですか?

はい、その通りです!

「インスタントコーヒー」と同じなので、お湯に溶かすことで香りが立ち、吸収も良くなります。そのまま水で流し込むより効果的です。(粉末に関してはエキス剤と違いお湯でも溶けにくいものが多いです。)

煎じ薬を作るときの鍋は、普通の鍋でいいですか?

土鍋や土瓶、あるいは耐熱ガラスのポットが理想です。鉄は、生薬の成分と化学反応を起こして質が変わってしまうことがあるので、避けたほうが無難です。

値段はどちらが高いですか?

一般的には、生薬をそのまま使う「煎じ薬」の方が少し高くなる傾向がありますが、選ぶ生薬の種類によって大きく変わります。薬局によってはエキス剤も煎じ薬も同額設定にしているところもありますので、カウンセリング時にご予算をお伝えください。

「詳しい料金体系やコースの目安はこちら」


記事監修者 漢方薬局 太陽堂 漢方薬剤師 前原 信太郎

実績:伝統漢方研究会 2017年・2021年 学術発表

祖父が沖縄で開業医をしていた影響もあって、薬に触れる仕事がしたいと「薬学」の道へ。

6 年間調剤薬局に勤めていましたがライフスタイルや食生活が変化する現代において、調剤(病院のお薬)だけで病気を治していく事に限界を感じ、2017年漢方薬局 太陽堂に入局。

その中で一人一人の体質に合わせて病気を改善していく漢方に出会い、その道に進み、今に至る。

記事監修者 漢方薬局 くら石 薬局長 石田 友里(いしだ ゆり)

実績:国際中医専門員A級 / 調布漢方特区プロジェクト 薬膳講師 / 伝統漢方研究会 学術論文発表(2021年・2024年)

合気道歴25年で培った「心を整える(マインドフルネス)」視点を活かし、不妊症や更年期障害、不安神経症など、心身のバランスに関わる繊細な悩みを得意とする。

・「体だけでなく、その人の人生そのものを応援したい。」
・「カウンセリングのように、話すだけで元気になってほしい。」

という想いで、生活背景までじっくり聞き取る相談スタイルを確立。

時には人生相談のようになる深い対話を通じて、患者さんが笑顔で自分らしい人生を歩めるよう温かくサポートしています。

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