漢方薬局の相談内容は秘密にしてもらえる?言いにくい悩みを話す前に知りたい4つのこと【薬剤師監修】

【この記事の要点】

  • 漢方薬局で話した相談内容は、薬剤師の守秘義務と個人情報保護法のルールで守られています。
  • 話したくないことは、無理に話さなくてかまいません。後からでも、紙に書いて渡しても大丈夫です。
  • 個室の有無や電話・郵送の配慮は、予約のときに確かめておくと安心です。
  • 誰にどこまで伝えるかは、相談する本人が決められます。
  • 監修:北浦 久貴 先生(神皇漢方薬局・大阪府泉佐野市)/竹部 晃之 先生(いわい薬局・埼玉県さいたま市)

生理のこと、夜の眠りのこと、気持ちの落ち込み、便やおしっこのこと。

漢方薬局の相談では、普段は人に話さないようなことまで聞かれます。

「ここで話したことが、家族や職場に伝わったらどうしよう」と心配になる方もいるでしょう。

その不安があると、本当に困っていることほど言い出せなくなってしまいます。

この記事では、相談内容がどのように守られているのかと、安心して話すための4つのことを紹介します。

病院ではどう見るか|医療の現場で個人情報が守られるしくみ

まずは、病院や調剤薬局で、患者さんの情報がどう扱われているかを見ておきましょう。

医師や薬剤師には、仕事で知った秘密を漏らしてはいけないという守秘義務があります。

これは刑法(134条)に定められている決まりです。薬剤師はこの対象にはっきり含まれています。

さらに、病院や薬局などの事業者には、個人情報保護法のルールもかかります。

病歴は「要配慮個人情報」と呼ばれ、ほかの個人情報よりも慎重に扱うことが求められています。

情報が共有される場面もある

一方で、医療の現場では、本人の同意のもとで情報が共有される場面もあります。

たとえば、お薬手帳は、飲んでいる薬をほかの病院や薬局に伝えるためのものです。

マイナ保険証では、本人が同意すると、過去の薬や健診の情報を医療機関が見られるしくみになっています。

また、健康保険を使った受診は、「医療費のお知らせ」に病院名などが記載されることがあります。

このお知らせは、保険証の持ち主の世帯に届くため、家族の目に触れることもあります。

【竹部 晃之 先生からのアドバイス】

気持ちの落ち込みや眠れない悩みは、なかなか人に言えないものです。

「こんなことで相談していいのかな」と迷ったまま来られる方も少なくありません。

話してくれた内容は、ほかの人に伝えることはありませんので、安心してください。

言葉にしにくいときは、メモを見せてもらうだけでも大丈夫です。

東洋医学ではどう見るか|なぜ言いにくいことまで聞くのか

漢方薬局で細かいことまで聞かれるのは、体質を見立てるのに欠かせない手がかりだからです。

東洋医学では、気血水(きけつすい=体をつくる3つの要素のこと)の偏りから体質を考えます。

便の状態や汗のかき方、生理の様子、眠りの深さは、その偏りを知る大事な材料です。

気持ちの浮き沈みも、東洋医学では体の状態と切り離さずに考えます。

つまり、言いにくい話ほど、体質を知るための大切な情報になることが多いのです。

とはいえ、すべてを最初の1回で話す必要はありません。話せる範囲から始めれば十分です。

病院・調剤薬局と漢方薬局の比較|情報の扱われ方

比べる点 病院・調剤薬局 漢方薬局
守秘義務 医師・薬剤師にある 薬剤師にある
個人情報保護法 適用される 適用される
情報の共有 お薬手帳・マイナ保険証(本人の同意が前提) 本人が伝えない限り、ほかの医療機関に共有されることは基本的にない
医療費のお知らせ 保険を使うと記載されることがある 保険を使わない相談・購入は、記載されないとされている
話す場所 診察室・投薬カウンター 個室・半個室のお店もある(店ごとに違う)

どちらも、相談内容を守る決まりの中で運営されている点は同じです。

違うのは情報の共有のしかたと話す場所なので、気になる点は予約のときに確かめておきましょう。

【北浦 久貴 先生からのアドバイス】

不安が強い方ほど、「変に思われないか」と気にして、言葉を選んでしまうことがあります。

でも、体のことも心のことも、どれも体質を知るための大切なヒントです。

話しにくいことは、話せるタイミングが来てからで大丈夫です。

一緒に、できるところから少しずつ整えていきましょう。

安心して話すために知っておきたい4つのこと

ここからは、相談の前に知っておくと安心できる4つのことを紹介します。

1. 薬剤師には法律上の守秘義務がある

病院と同じように、漢方薬局の薬剤師にも守秘義務があります。

相談で話した内容が、本人の許可なく家族や職場に伝わることは、原則としてありません。

2. 話したくないことは話さなくてよい

質問に答えにくいときは、「今はちょっと話しにくいです」と伝えてかまいません。

答えないことで、相談を断られることはまずありません。次回以降に話す方もいます。

3. お店の配慮は予約のときに確かめる

個室があるか、電話をかけるときにお店の名前を名乗ってよいか、などはお店によって違います。

郵送で薬を受け取る場合は、届け先や受け取り方の希望を先に伝えておくと安心です。

4. 誰にどこまで伝えるかは自分で決められる

家族に付き添ってもらうか、一人で相談するかは、本人が選べます。

付き添いの方がいても、一部の話だけ一人で聞いてもらうよう頼むこともできます。

自宅でできる準備|言いにくい悩みの伝え方

言いにくい悩みは、家で紙に書いておき、相談のときに見せるのがおすすめです。

「言いにくいのですが」と前置きするだけでも、話し始めやすくなります。

生理やトイレの悩みは、回数や日数など、数字で書いておくと伝えやすくなります。

伝えたいことに、先に優先順位を付けておくと、時間内に話しやすくなります。

気持ちが落ち着かない日は、温かい飲み物でひと息ついてから出かけるのもよいでしょう。

相談前の安心セルフチェック

次の項目に当てはまるものが多いほど、相談の前に準備しておくと安心です。

  • 家族に知られずに相談したい
  • 電話や郵便物でお店の名前が出るのが気になる
  • 待合室でほかの人に話を聞かれたくない
  • 生理・性・トイレ・心の悩みなど、口に出しにくい内容がある
  • 健康保険の「医療費のお知らせ」が気になる
  • 付き添いの家族がいる場では話しにくいことがある

当てはまった項目は、予約の電話やメールで先に伝えておくと、お店も準備しやすくなります。

この記事の監修

記事監修者 神農漢方薬局 代表薬剤師 北浦 久貴(きたうら ひさき)

実績:伝統漢方研究会 関西理事 / 2023年 学術論文発表(田七人参と牡丹皮の研究)

幼少期、自身が重度のアトピー性皮膚炎に悩み、漢方薬(不思議なまずい粉)によって劇的に改善した原体験を持つ。

・「あの時の感動と、治る喜びを多くの人へ届けたい。」
・「無理なく、できることから一緒にやってみよう。」

というスタンスで、自身の経験から「皮膚トラブル」や「メンタル不調」の相談を得意とする。

現在は研究会の理事として東へ西へ奔走し技術を磨きながら、患者さんの心の荷物を下ろすような、気楽で温かいカウンセリングを行っています。

記事監修者 (有)いわい薬局 代表薬剤師 竹部 晃之(たけべ てるゆき)

実績:国際中医専門員 / 全国実力薬局100選 7年連続選出

2005年に薬剤師となり、東京の漢方薬局で約10年間の臨床経験を積む中で、心と体の繋がりの深さを痛感。

・「もしも、不調に悩むお客様が自分の家族だったら。」
・「ただ薬を渡すだけでなく、心の奥にある不安まで受け止めたい。」

という信念のもと、創業45年を超える『いわい薬局』を継承。
現在は「メンタル・皮膚トラブル・子宝」などの相談を中心に、初回は1時間以上かけてじっくり話を聴く「カウンセリング重視」の漢方相談を行っています。

この記事を監修した先生が相談を受けているお店です。相談先を探すときの参考にしてください。

よくある質問

漢方薬局で話したことは、家族に伝わりますか?

本人の許可なく伝わることは、原則としてありません。薬剤師には法律で守秘義務が定められています。

ただし、ご家族が付き添っている場では話が聞こえるので、一人で話したい内容は先に伝えておきましょう。

漢方薬局で買った漢方薬は、医療費のお知らせに載りますか?

健康保険を使わない相談・購入は、記載されないとされています。

保険の処方せんを扱うお店で保険を使った場合は、記載されることがあります。気になる方はお店に確かめてください。

生理や夜の悩みを話すのが恥ずかしいです。言わなくても相談できますか?

相談はできます。話せる範囲から始めて大丈夫です。

話しにくい内容は、メモに書いて見せる方法もあります。同性の薬剤師がいるかどうかを予約時に聞いてみるのもよいでしょう。

職場の近くの漢方薬局で、知り合いに会わないか心配です。

個室や予約制のお店なら、ほかのお客さんと顔を合わせにくくなります。

自宅や職場から離れたお店で相談したり、オンライン相談を使ったりする方もいます。

心の不調も漢方薬局で相談してよいのですか?

相談できます。東洋医学では、気持ちの浮き沈みも体質と切り離さずに考えます。

つらさが強いときや、日常生活に支障が出ているときは、心療内科などの医療機関もあわせて頼ってください。

まとめ

  • 漢方薬局の相談内容は、薬剤師の守秘義務と個人情報保護法で守られています。
  • 言いにくい話ほど、体質を知るための大切な手がかりになります。
  • 話したくないことは無理に話さず、メモや次回に回してもかまいません。
  • 個室や電話・郵送の配慮は、予約のときに確かめておくと安心です。

相談先を探すときは

漢方百名店では、一人ひとりの悩みに丁寧に耳を傾ける全国の漢方薬局を紹介しています。

相談で何を話すかの準備や、お店の人には聞きにくい悩みもあわせて参考にしてください。

個室や予約制など、話しやすい環境のお店は、受賞店の一覧から地域を絞って探せます。