【連載】漢方百景 ~先生からの月一便り~ 三井先生より
はじめまして。 「漢方百景」をご覧いただき、ありがとうございます。
兵庫県伊丹市の「薬鍼堂(やくしんどう)」と、大阪府豊中市の「大阪漢方薬房」で漢方相談をしております、三井翔です。
前回、滋賀県の「漢方の本陣薬局」竹内先生よりバトンを受け取りました。約250年という長い歴史を受け継ぎながら、真摯に患者さんと向き合われる竹内先生の姿勢には、私も日々多くのことを学ばせていただいています。
さて、漢方相談に携わる中で日々、様々なお話を伺っていますが、今日は少しだけ、相談室ではあまりお話ししない私自身のことを書いてみようと思います。
■「頑張りすぎないで」と言う私が、一番休むのが苦手でした
私はこれまで、漢方相談にいらっしゃる多くの方にこうお伝えしてきました。
「無理をしすぎないでくださいね」
「ちゃんと休んでください」
ですが正直に言うと、私自身がそれを一番苦手としていて、気がつくと無理をしてしまう側の人間です。
気づけば予定を詰め込み、やるべきことを優先し、少し体調が悪くても「これくらいなら」と動いてしまう。
「もう少し頑張れるはずだ」。そうやって、自分に言い聞かせてしまうのです。
■お伝えしていた言葉が、自分へのメッセージだった
ある日、ふとした瞬間に気づきました。 相談に来られる方の言葉が、そのまま自分に向けられているように感じたのです。
「休み方がわからないんです」 「気を抜くと、不安になるんです」
その言葉に、私は強く共感しました。「ああ、同じだな」と。
漢方では、体のバランスだけでなく、その人の「生き方」も大切にします。 どれだけ良いお薬を使っても、心と体が無理を続けていれば、どこかで歪みは生まれてしまう。これは私自身にも当てはまることでした。
それから少しずつ、「頑張らない時間」を意識するようになりました。
何もしない時間をつくること。 少し早く休むこと。 完璧でなくてもいいと認めること。
簡単なようでいて、これがなかなか難しいのです。 けれど不思議なことに、それを意識し始めてから、体の調子も、気持ちの余白も、少しずつ変わってきました。
■真面目で優しい、あなたへ。「もう十分、頑張っていますよ」
相談に来られる方の中には、とても真面目で責任感が強く、優しい方が多いです。 周りに気を遣い、期待に応えようとし、自分のことは後回しにしてしまう。そして気づいたときには、体も心も少し疲れきっている。
相談室では時間の関係ですべてをお伝えすることはできませんが、本当は漢方薬と一緒に、こんな言葉をお渡ししたいと思っています。
「もう十分、頑張っていますよ」と。
頑張ることは、決して悪いことではありません。ただ、それが続きすぎると、どこかでバランスが崩れてしまいます。 漢方は、無理に何かを変えるものではなく、本来の状態に戻していくものです。それは体だけでなく、生き方そのものにも少し似ている気がしています。
私自身も、まだうまくできているわけではありません。それでも以前よりは、少しだけ「休むこと」を受け入れられるようになりました。
もし今、「頑張りすぎているかもしれない」と感じているなら、それは弱さではなく、それだけ日々を大切に生きている証だと思います。
どうかご自身のことも後回しにせず、少しだけ自分自身をいたわる時間を作ってください。そして必要であれば、一緒に整えていくお手伝いができればと思っています。
【次のバトンはこちら!】 次回は、神奈川県のしらい薬局、白井一矢先生にバトンをお渡しします!
運営からの一言
「無理しないで」と言う先生自身が、一番無理をしていた……。三井先生のこの率直な告白に、ハッとした方も多いのではないでしょうか。
真面目で優しい人ほど、自分を後回しにしてしまいがちです。でも、先生が言うように「休むこと」も立派な漢方の一部。 もし今、休み方がわからなくて疲れてしまっているなら。
兵庫・伊丹や大阪・豊中の「薬鍼堂」で、三井先生と一緒に、あなたらしいバランスを探してみませんか?「もう十分頑張っている」と、あなた自身を肯定することから、体調改善は始まりますよ。


