【連載】漢方百景 ~先生からの月一便り~
漢方百名店に加盟する全国の先生方が、バトンをつないで綴るリレーエッセイ。
診察室で生まれた温かいエピソードや、先生ご自身の日常、そして漢方への熱い想い……。 普段のカウンセリングだけでは見えない、先生方の「プロの横顔」と「人柄」を、毎月一通の手紙のようにお届けします。
記念すべき第一回は、埼玉・大宮の「いわい薬局」竹部先生からスタートです。
第一弾は(有)いわい薬局の竹部晃之先生
埼玉県さいたま市・大宮。「自然を愛するマラソンランナー」こと、(有)いわい薬局の竹部晃之と申します!
当店は、ここ大宮の地で開局し、昨年で45周年という節目を迎えました。
義理の両親が始めたお店を5年ほど前に引き継ぎ、それまで積み上げてきたお客様からの信頼を大切に受け継ぐべく、日々奮闘しています。(両親もまだまだ健在です!)
今回は、私の考える「漢方相談」のあり方と、あるお客様との忘れられないエピソードをご紹介します。
■「漢方薬局」ってどんなところ? 謎に包まれた扉を開けて
「漢方薬局」という業態は昔からありますが、正直なところ、
- 「お店ではどんな話をするの?」
- 「どんな人が働いているの?」
- 「そもそも漢方相談って何?」
と、少し謎に包まれた場所に感じられる方も多いのではないでしょうか。
詳しい解説はコラム「漢方相談って、実際どんな感じ?」にも譲りますが、ここでは私自身の“思い”についてお話しさせてください。

■あえて「1時間半」。あなたの“体の歴史”を紐解くために
まず、お体にぴったりの漢方薬を見つけるためには、現在の不調だけでなく、元々の体質をしっかりと見極める必要があります。 そのため当店では、初回は1時間~1時間半のお時間を確保しています。
これは、なぜ今の不調が現れたのかを一緒に探る、いわばお客様の「体の歴史」を紐解く大切な時間です。
じっくりとお話を伺う中で、お客様からはこんなお声をいただくことも少なくありません。
「こんなに詳しく話を聞いてもらったのは初めて!」 「話ができただけで、何だか元気になった気がする」
私自身、昔から口達者なほうではなく、今でも決して器用な性格ではないと自覚しています。(子どもの頃はとてもシャイな男の子でした(*´艸`))
ただ、お客様のお話を親身になって“聴く”ことには自信がありますし、今ではこの仕事を天職だと感じています。
何より、ご提案した漢方薬で「良くなったよ~、ありがとう!」とお声をいただいたとき。心から漢方薬剤師という仕事に就いて良かったと実感する瞬間です。
■【事例】社交不安障害を抱える女性とのエピソード
ここで、当店のお客様との忘れられないエピソードをご紹介します。
数年前、仕事のストレスから「社交不安障害」を発症されたある女性がご相談に来られました。 以前は活発な性格だったそうですが、当時は人と話すことに強い恐怖を感じておられ、初回の相談時もなかなか目を合わせることができませんでした。
幸いにも漢方薬の提案にご納得いただき、一歩ずつ克服に向けて歩み始めることに。体調が徐々に良い方向へ変化する中、服薬開始から4か月ほど経った頃のことです。
「1か月後に姉の結婚式があるので、どうしても出席したい」
彼女は、そんなお気持ちを打ち明けてくださいました。 不安でいっぱいではあるけれど、大切なお姉さんの門出を心からお祝いしたい――。その切実な思いに、私も胸が熱くなったのを覚えています。
■デジタルな時代だからこそ、「人生」に寄り添うアナログな温かさを
結果として、彼女は無事に結婚式へ出席することができました。 後日そのご報告をいただいた際には、お互いに安堵の表情を浮かべ、喜びを分かち合いました。
私たちの仕事は、単にお薬や健康に関わるだけでなく、ときには「お客様の人生」に寄り添うことができる、素敵な仕事だと感じています。
デジタル化が進み、効率化が求められる現代。漢方相談は“アナログ”な部分も多く残っていますが、私はこのやり方にこだわりを持ち、これからも一人ひとりのお客様と丁寧に向き合っていきたいと思っています。
全ての人の健康と幸せを願って。ありがとうございました!
【次のバトンはこちら!】 次回は、いつも笑顔が素敵な 【神皇漢方薬局】の北浦久貴先生にバトンタッチします!
運営からの一言
「効率化よりも、アナログな温かさを」。
竹部先生のこの言葉に、私たち漢方百名店が大切にしたい想いがすべて詰まっていると感じました。
初回に1時間半という時間をかけ、心の奥にある不安まで受け止めてくれる「いわい薬局」。
埼玉・大宮エリアで、誰にも言えない悩みを抱えている方、じっくりと話を聞いてほしい方は、ぜひ竹部先生を訪ねてみてください。


