【連載】漢方百景 ~先生からの月一便り~ 小西先生より
はじめまして。 三重県松阪市「松阪漢方堂」の小西和彦です。
前回、「白井薬局駅前店」白井一矢先生からバトンを受け取りました。 白井先生は、私も所属している漢方勉強会で長年、関東地区の中心的存在として活躍されている、経験豊富でとても頼もしい先生です。
今回は、今の時点で私が考える「健康法」や「養生法」について書かせて頂きます。
■ 万人に合う健康法は存在しない
世の中には数えきれない程の健康法があります。
また健康法の中には「水をたくさん飲みなさい」という人がいれば、「水の摂り過ぎは良くない」という人もいます。
「玄米食が良い」という人がいれば、「かえって身体に良くない」という人もいます。
何が正しいのか分からずに、混乱している方も多いのではないでしょうか。
このような状況は、個人差(体質的傾向、環境、その時の体調)という視点が抜け落ちているからだと思います。 少し考えれば分かる事ですが、筋肉質で体力があり暑がりな人と、痩せ型で疲れ易く冷え性の人とでは、同じ健康法で合うはずがありません。
また、普段は体力があり元気な人でも、過酷な環境におかれ心身共に疲弊している時には、やはり同じ健康法が合うとは限らなくなります。
同様の事はサプリメントや健康食品にもいえます。 体調が悪い時にエネルギーを補うようなサプリメントが良く効いて元気になったとしても、元気になってからもそのサプリメントが合い続けるとは限りません。長く摂りすぎることでエネルギー過剰となり、身体に負担が掛かっているようなことも往々にしてあるものです。
身体への影響がある程度強いものには、良い面があれば、かならず悪い面もあります。 これは健康法に限らず全てのことに言えますが、良いところは同時に悪いところにもなり得るものです。
■ 足すよりも「減らす」養生を
当店では、身体を養う養生法として以下の事をお伝えしています。 健康のために何かを増やすよりも、身体にとって悪影響となりやすいものを減らす方が、穏やかでかつ効果が高いと考えています。
- 冷たいものを控えめにする 慢性的に胃腸を冷やして良いことは殆どありません。時々は冷たいものを飲んでも良いと思いますが、基本は温かい飲みもの、せめて常温の飲み物にされると良いと思います。
- スマートフォンの過度の使用は控える スマートフォンの過度の使用は、自律神経に悪影響を与える可能性があります。また眼精疲労、頭痛、頚肩凝りの悪化要因になります。使用が長くなる時には、途中で少し休憩を挟むなどして上手に使うようにしましょう。
- 砂糖や人工甘味料の摂り過ぎは控える 身体は毎日の食事で出来ています。毎朝のように菓子パンと砂糖や人工甘味料の多いジュースや缶コーヒーのような食生活を続けていれば、体調を崩しても少しも不思議ではありません。
■ 「健康」は目的ではなく、手段のはず
以上、健康法、養生法について個人的な考えを書いてきました。
それでは、身体に悪いものをいっさい摂らずに、健康のために生きるのが良いのでしょうか? それはそれで、健康的で無いように思います。
健康というのは、仕事や勉強、遊びなど、毎日の生活をある程度快適に、大きな支障なく過ごすための手段のはずです。 漢方相談をしていると、「健康であること」が目的になっているように感じる方が時々いらっしゃいます。
東洋医学では、気が伸びやかに身体を巡っている状態を健康だと考えます。 「身体に悪いからこれはダメ、あれもダメ」というような過度のこだわり、頑なさは、気の巡りを停滞させてしまいます。
体質が人それぞれ異なるように、そのような過度の抑制が性に合う人もいれば、苦手で合わない人もいます。苦手な人が無理をして続けていると、仮に身体は健康になったとしても、別のところにひずみが生まれてしまうかもしれません。
■ 「養生七分、適当三分」くらいがちょうどいい
わたしが漢方の道に入ったばかりの頃、師匠から「養生七分、医は三分」という言葉を教わりました。 漢方薬も含め、医療行為が出来ることは全体の三割程度。あとの七割は日々の養生が大切である、という意味だと理解しています。
病気で本当に大変な時は、厳密な養生も大切です。 しかし、ある程度体調が回復して「医」の部分が必要なくなれば、それからは「養生七分、適当三分」くらいが、ちょうど良いのではないでしょうか。
ご相談に来られる方の毎日の生活が、漢方薬を服用する事で少しでもより良いものとなる事を願って、日々漢方相談をお受けしています。
【次のバトンはこちら!】 次回は、滋賀県の漢方専門店 連珠庵、櫻田先生にバトンをお渡しします!
運営からの一言
ネットやテレビで新しい健康法を見るたびに「試さなきゃ」と焦ったり、「また甘いものを食べてしまった…」と自分を責めたりしていませんか?
小西先生の
「健康は目的ではなく手段」
「養生七分、適当三分」
という言葉に、肩の荷がスッと下りた方も多いはずです。万人に合う健康法がないからこそ、自分に合った「ちょうどいい」バランスを見つけることが大切なんですね。
情報過多で何が自分に合っているのか分からなくなってしまった方は、ぜひ三重の「松阪漢方堂」で、小西先生と一緒にあなたの「適当三分」のバランスを見つけてみませんか?


