はじめに:その「葛根湯」、あなたに合っていますか?
「漢方を試してみたいけど、専門の薬局は敷居が高いし、値段も高そう…」
「とりあえず、近所のドラッグストアで買ってみようかな」
そう思うのは当然のことです。
パッケージに同じ「葛根湯(かっこんとう)」という名前が書いてあれば、安くて手軽な方を選びたくなりますよね。
でも、はっきり申し上げます。
ドラッグストアの漢方と、専門店の漢方は、似て非なるものです。
今回は、なぜ専門店わざわざ高いお金を払って行く価値があるのか?
その理由を、「成分」「選び方」「安全性」の3つの視点から、包み隠さず解説します。
1. 【成分の違い】「既製品」と「オーダーメイド」
最大の違いは、薬そのものの作り方です。
分かりやすく「スーツ」で例えてみましょう。
ドラッグストア(市販薬)=「既製服(S・M・Lサイズ)」
市販の漢方薬は、不特定多数の人が安全に飲めるように作られています。
そのため、副作用が出ないよう、成分量(エキスの濃度)をあえて控えめ(50%〜80%量など)にしている商品も少なくありません。
また、飲みやすいようにコーティング剤などの添加物も含まれています。
- メリット: 手軽、飲みやすい、安全マージンが高い。
- デメリット: 本格的な治療にはパワー不足なことがある。
専門薬局 =「オーダーメイドの仕立て服」
一方、専門薬局では、あなたの体の採寸(カウンセリング)をしてから薬を用意します。
生薬をそのまま煮出す「煎じ薬」や、成分量がちゃんと入っている粉薬・エキス剤を使います。
さらに、「葛根湯に、別の生薬を1gだけ別途お渡しする」といった微調整(匙加減)ができるのも専門店ならではです。
ポイント
ドラッグストアの薬は「誰でも無難に着られる服」。
専門店の薬は「あなたの体にジャストフィットさせた服」です。

2. 【選び方の違い】「自己判断」のリスク
「風邪には葛根湯」だと思っていませんか?
実はこれ、漢方的には50点の正解です。
漢方薬は、病名ではなく「体質」で選びます。
例えば、同じ風邪でも、以下のように薬を使い分けなければなりません。(※こちらも一例になります。)
- ガッチリ体型で、汗をかいていない人 葛根湯(汗を出させる)
- 虚弱体質で、じっとりと汗をかいている人 桂枝湯(汗を調整する)
もし、汗をかきやすい人が、ドラッグストアで自分で選んだ「葛根湯」を飲んだらどうなるでしょうか?
汗が出すぎて脱水症状になったり、余計に体力が奪われて風邪が長引いたりします。これが「誤治(ごち=治療ミス)」です。
「市販の漢方を飲んだけど効かなかった」
という人の大半は、薬が悪かったのではなく、選び方が間違っていた(サイズ違いの服を着ていた)だけなのです。

3. 【料金の違い】「技術料」が含まれている
「それにしても、専門薬局は高すぎる…」
そう感じる方も多いでしょう。確かに、市販薬が月数千円で済むのに対し、専門薬局は月1万〜2万円以上かかることもあります。
この価格差は、単なる材料費の違いだけではありません。
「あなたの体質を見極めるコンサルティング料(技術料)」が含まれているとお考えください。
- 今のあなたの不調の原因はどこにあるのか?
- 食事は何を変えればいいのか?
- 生活リズムはどうすればいいのか?
薬を売るだけでなく、これらを含めた「健康になるための最短ルート」を買っているのです。
自己流で何種類もサプリや市販薬を試して遠回りするより、結果的に安く済むことも多々あります。

比較まとめ:あなたはどっちを選ぶべき?
ここまでの違いを表にまとめました。あなたの「本気度」に合わせて使い分けてください。
| 項目 | ドラッグストア(市販薬) | 漢方専門薬局 |
| おすすめな人 | 軽い風邪、ちょっと試してみたい人 | 長年の慢性病、体質改善したい人 |
| 薬のタイプ | 既製品(誰でも飲める) | オーダーメイド(あなた専用) |
| 成分の濃さ | 控えめなことが多い | 濃い・満量処方・生薬そのまま |
| 選び方 | 自己判断(パッケージで選ぶ) | プロの診断(体質で選ぶ) |
| 安全性 | 非常に高い(リスク小) | 副作用リスクもあるが、管理される |
| 価格 | 手頃(1,000円〜/週) | しっかり(3,000円〜/週) |

【Q&A】よくある質問
ドラッグストアの漢方で効果が出ているなら、そのままでいいですか?
はい、もちろんです!
市販薬で症状が改善されているなら、その薬があなたの体質(サイズ)に合っている証拠です。無理に変える必要はありません。
「飲んでいるけど効いているか分からない」「もっと良くしたい」と感じた時が、専門店の扉を叩くタイミングです。
専門薬局でも、ドラッグストアのような「粉薬」は出せますか?
はい、出せます。
煎じるのが大変な方には、プロ仕様の高品質な「エキス剤(粉薬)」をご提案します。市販のものより成分が濃いものや、複数の薬をブレンドした独自の処方も可能です。

相談だけでもいいですか?
相談のみOKなお店も多いです。
まずは今の自分の体質を知るだけでも大きな一歩です。ただし、相談料がかかる場合もあるので、予約時に確認してみましょう。

まとめ:本気で治したいなら「プロの選球眼」を頼ろう
- 軽い不調や、急ぎの時は「ドラッグストア」。
- 長年の悩みや、体質からの根本治療は「専門薬局」。
このように使い分けるのが賢い方法です。
もしあなたが、「市販の漢方を飲んだことがあるけど、あまり効かなかった」という経験をお持ちなら、それは漢方が効かないのではなく、鍵と鍵穴が合っていなかっただけかもしれません。
一度、漢方のプロである薬剤師に、あなたの「鍵穴(体質)」を見せに来てください。
ピタリとハマる、あなただけの処方箋をご用意してお待ちしています。


記事監修者 漢方薬局 太陽堂 薬局長 林 泰太郎

実績:伝統漢方研究会 2015~2017年・2019年・2020年・2022年 2025年学術発表
調剤薬局で3年間勤め、西洋の薬だけでは治療が難しい病気の壁に直面。
・「治療の難しい病気をなんとか治したい。」
・「ひとりでも多くの患者さんを笑顔にしたい。」
という想いから漢方の道へ。
漢方薬局で3年間修業をして、2015年 『漢方薬局 太陽堂』を立ち上げ。
開局10年を迎えた今も1ヶ月の平均来局数は900名を超え、お客様にご愛顧いただいている太陽堂の漢方薬剤師です。
記事監修者 神農漢方薬局 代表薬剤師 北浦 久貴(きたうら ひさき)

実績:伝統漢方研究会 関西理事 / 2023年 学術論文発表(田七人参と牡丹皮の研究)
幼少期、自身が重度のアトピー性皮膚炎に悩み、漢方薬(不思議なまずい粉)によって劇的に改善した原体験を持つ。
・「あの時の感動と、治る喜びを多くの人へ届けたい。」
・「無理なく、できることから一緒にやってみよう。」
というスタンスで、自身の経験から「皮膚トラブル」や「メンタル不調」の相談を得意とする。
現在は研究会の理事として東へ西へ奔走し技術を磨きながら、患者さんの心の荷物を下ろすような、気楽で温かいカウンセリングを行っています。

