「病院の薬」と「漢方薬」、どっちが効くの?賢い使い分けと、絶対にやってはいけない併用NG例

「病院の薬」と「漢方薬」どっちが効くの?賢い使い分けと併用NG例の解説記事タイトル画像。和紙の背景に筆文字風のフォント。
目次

はじめに:どっちが優れているか、ではなく「役割」が違います

「ずっと病院の薬を飲んでいるけど、なかなかスッキリしない…」
「薬の量が増えていくのが怖くて、漢方に変えたい」

そんなご相談をよくいただきます。

結論から言うと、西洋医学(病院)と東洋医学(漢方)は、「対立するもの」ではなく「協力するもの」です。

サッカーに例えるなら、病院の薬は「点を取りに行くフォワード」、漢方薬は「守りを固めてゲームを作るディフェンダー」。(もちろん逆の時もあります。)

ポジション(役割)が全く違うのです。

今回は、それぞれの得意分野を知って、「いいとこ取り」をするための賢い使い分け方をご紹介します。


1. 【例え話】「火事の消火」と「燃えにくい家作り」

両者の違いは、火事に例えると非常に分かりやすくなります。

病院(西洋医学)=「消防士」

  • 役割: 今燃えている火(症状)を、強力な水圧で一気に消す。
  • 得意: 細菌を殺す、手術で悪い部分を取る、高すぎる血圧や熱を強制的に下げる。
  • 弱点: 火は消えるが、水浸しになったり(副作用)、家がボロボロのままだとまた火事が起きる(再発)。

漢方(東洋医学)=「大工・土壌管理」

  • 役割: 焼け焦げた柱を修復し、そもそも火事が起きにくい湿り気のある家(体質)を作る。
  • 得意: 冷えを取る、免疫力を上げる、自律神経を整える、原因不明の不調。
  • 弱点: 燃え盛る激しい炎を、すぐに消すには時間がかかる時がある(風邪のように即効性があるものもあれば、時間がかかるものも。)

つまり…

激しい痛みや急病の時は「消防士(病院)」を呼び、火が消えた後の修復や、火事の予防には「大工(漢方)」を呼ぶのが正解です。

西洋医学と東洋医学の役割の違いを表したイラスト。左側は燃え盛る炎に放水する消防士(病院・対症療法)、右側は火事の後の家を修復し庭の土を整える大工や庭師(漢方・根本治療)の対比。

2. 徹底比較!あなたのお悩みはどっち向き?

ご自身の症状がどちらに向いているか、表で確認してみましょう。

項目病院(西洋医学)が向いている漢方(東洋医学)が向いている
検査今すぐどうにかしないといけない不調異常なしや慢性的・原因不明の状態
症状激痛、細菌感染、救急慢性痛、冷え、更年期、疲れ
治療「悪い部分」を攻撃・排除する「体全体」のバランスを整えられる
成分単一でシャープに効く複数の生薬のコンビネーション

漢方薬でも腎臓や肝臓などの病気や肺疾患など、こんな病気に漢方薬が効くの?って所にも効果はあったりします。

未病から病気まで幅広く聞くのが漢方薬です。

未病レベルの不調についてはこちらで詳しく解説しています。

治療アプローチの違いを表したイラスト。左側は虫食いの葉を虫眼鏡で拡大してピンセットで扱う様子(局所ケア)、右側は木全体に日差しを当てて根っこに栄養を与える様子(全体ケア)。

3. 一緒に飲んでも大丈夫?「併用」の注意点

「今、病院の薬を飲んでいるんですが、漢方も飲んでいいですか?」

これ、一番多い質問です。

基本的には「併用OK」な場合が多いですが、いくつか絶対に注意すべきポイントがあります。

注意①:同じ効果があるものには気を付けよう。

血流を良くするお薬を飲んでいる方に「血流を良くする漢方薬」
糖尿病のお薬を飲んでいる方に「血糖を落とす効果のある漢方薬」
血圧のお薬を飲んでいる方に「血圧を調整する漢方薬」

基本的に漢方薬は「正常化効果」なので、過度に効きすぎるという事はほとんどありません。(血圧を落としすぎる・血糖を落としすぎるなど)

ただ漢方薬で正常に落とした状態に、病院のお薬の効果で更に正常値以下まで落とすという事はあります。
なので同じ効果のあるお薬に関しては注意が必要かもしれません。

注意②:飲むタイミング

基本的には、1時間ほど時間をずらして飲むことをおすすめしています。お互いの吸収を邪魔しないためです。

結論:「お薬手帳」を見せてください!

自己判断で飲み合わせるのは危険です。

漢方相談に来られる際は、必ず「お薬手帳」(または飲んでいる薬の実物)をお持ちください。私たちが責任を持って飲み合わせをチェックします。

「実際にお薬手帳を見ながらどう相談するの?流れはこちら」


4. 理想の付き合い方(ハイブリッド治療)

私が考える「一番賢い付き合い方」はこうです。

  1. まずは病院へ:激しい症状や不安がある時は、まず病院で検査を受けてください。「重大な病気ではない」と分かるだけで安心できます。
  2. 異常なし・慢性化なら漢方へ:「薬が出なかった」「薬を飲んでもスッキリしない」という時こそ、漢方の出番です。
  3. 減薬・卒業を目指す:漢方で体質が整ってくれば、自然と病院の薬の量を減らせることもあります。(※病院のお薬に関しては医師と相談しながら減らします)

漢方薬局に来られる方は病院では中々良くならなかったなどの「セカンドオピニオン」・「サードオピニオン」で来られる方が多いです。


まとめ:対立ではなく「最強のタッグ」を組もう

「漢方を始めたら、病院の薬は全部やめなきゃいけない」なんて思う必要はありません。

西洋医学の「切れ味」と、東洋医学の「底力」。この両方を味方につけるのが、現代の賢い生き方です。

「今の治療に、漢方をプラスできるかな?」

そう思ったら、今飲んでいるお薬を持って、お気軽にご相談ください。


【Q&A】病院と漢方の素朴な疑問

漢方薬局で「病院に行ってください」と言われることもありますか?

はい、あります。

お話を伺ってこれは一度検査をしてもらった方が良いなという場合は、医療機関の受診をお勧めします。また検査数値なども漢方薬を出すうえでの大切な目安です。

無理に漢方薬を売ることはありませんのでご安心ください。

医師に「漢方を飲んでいる」と言いづらいのですが…

その気持ち、分かります。ですが、最近は漢方に理解のある医師も増えています。

もし言い出しにくい場合は、私たち薬剤師にご相談ください。飲み合わせの確認をこちらでしっかり行います。

病院でも漢方は処方されますが、薬局のものとは違いますか?

病院で保険適用で出される漢方薬(エキス剤)と、専門薬局の漢方薬にはいくつか違いがあります。

専門薬局では、より細かい体質に合わせた種類の選定ができるほか、生薬の質や量にこだわった「煎じ薬」などを扱えるのが強みです。詳しくはカウンセリングでご説明します。

「「粉薬」と「煮出す薬(煎じ薬)」の効果の違いとは?」


記事監修者 漢方薬局 嶺耀堂 薬局長 武田 隆芳(たけだ たかよし)

実績:病院勤務4年・調剤薬局勤務8年の臨床経験 合計12年間

西洋医学の最前線で多くの患者さんと向き合う中で、薬で症状を抑えるだけではない「根本的な治癒」への渇望が芽生える。

・「身近な人の悩みにもっと深く関わり、本当に治る手助けがしたい。」
・「薬だけでなく、身体の内側から体質を変えていく感動を伝えたい。」

という強い想いから漢方の道へ。 現在は呼吸器や皮膚トラブル、精神疾患などを得意とし、漢方薬の処方はもちろん、食事や生活習慣のアドバイスまで含めた「二人三脚のサポート」を行っています。

記事監修者 神農漢方薬局 代表薬剤師 北浦 久貴(きたうら ひさき)

実績:伝統漢方研究会 関西理事 / 2023年 学術論文発表(田七人参と牡丹皮の研究)

幼少期、自身が重度のアトピー性皮膚炎に悩み、漢方薬(不思議なまずい粉)によって劇的に改善した原体験を持つ。

・「あの時の感動と、治る喜びを多くの人へ届けたい。」
・「無理なく、できることから一緒にやってみよう。」

というスタンスで、自身の経験から「皮膚トラブル」や「メンタル不調」の相談を得意とする。

現在は研究会の理事として東へ西へ奔走し技術を磨きながら、患者さんの心の荷物を下ろすような、気楽で温かいカウンセリングを行っています。

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